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「東電旧経営陣は何を話す~きょうから被告人質問」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

福島第一原発の事故をめぐり、東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判で、16日から被告人質問が始まります。

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Q:この裁判では、東京電力の元会長の勝俣恒久被告、元副社長の武黒一郎被告、元副社長の武藤栄被告の旧経営陣3人が、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されました。そして、3人はいずれも無罪を主張しています。ここまで裁判は、どういう点が争われてきたのでしょうか。

A:争点は2つです。巨大な津波は予測できたか。そして対策をとっていれば事故を防ぐことはできたのかという点です。
ここまで法廷は30回近く開かれ、多くの証人が証言しました。私も何度か傍聴しましたが、東京地裁で1番大きな法廷を使い、毎回、傍聴を希望する人の列ができて、抽選が行われています。関心の高さがうかがえます。

Q:これまでどんな証言が出てきたのですか。

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A:最初の争点、津波の予測について、ある専門家は「巨大な津波を予測できた」とする一方で、別の専門家は「長期評価の予測の信頼性が高いかどうかは議論があった」としています。

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もう一つの争点、事故の防止についても、「高い防潮堤を設置していれば、津波はかなり防げた」という証言の一方で、「技術的な難しさ」や「完成には時間がかかる」という証言もありました。

Q:証言の内容も大きく分かれているのですね。

A:それだけにこの被告人質問が注目されているんです。特にポイントの1つになるのが、16日から質問が行われる武藤元副社長です。

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元副社長は事故の3年近く前、社内で津波対策を進めていた担当者から、想定される津波が最大15、7メートルになるという新たな試算結果の報告を受けていたとされています。検察官役の指定弁護士は「報告を受けながら対策を先送りした」と主張しているんです。
では、この報告を本人はどう認識したのか。そして当時の判断の経緯について、法廷でどのように説明するのかが、焦点の1つです。
16日から今後それぞれに、被告人質問が行われます。裁判の行方を左右する最大のヤマ場と言っていいと思います。

(清永 聡 解説委員)

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