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「米中間選挙『テキサスの決闘』は?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

来月6日の投票日まで残り1か月を切ったアメリカ議会の中間選挙で、南部テキサス州選出の上院の議席争奪に全米が注目しています。髙橋解説委員です。

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Q1)
なぜテキサスの戦いに注目が集まっている?
A1)
人口も面積も経済規模も全米第2位のテキサス州。ここでちょっと前には考えられなかったような異変が起きているからです。今度の中間選挙で改選を迎える現職の上院議員は、共和党のテッド・クルーズ候補。2年前トランプ氏と大統領候補の指名を争ったことを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。テキサスはこの四半世紀、上院選は共和党が負け知らずといういわば“保守の牙城”ですから、今回も楽々と再選されるはずと目されていました。ところが、民主党の挑戦者ベト・オルーク候補が、支持率で数ポイント差に迫り、“まさかの接戦”になりそうなのです。

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Q2)
どうして民主党の候補は支持を集めている?
A2)
テキサス独特の保守的な政治風土には珍しい型破りなキャラクターが人気の秘訣です。もともとミュージシャンでパンクロッカー出身の下院議員。甘いマスクと切れ味鋭い演説で“オバマ前大統領の再来”と称する声もあります。アイルランド系の白人ですが、メキシコとの国境近くに生まれ育ち、名前もヒスパニックを思わせる「ベト」の愛称で呼ばれています。
しかも、訴える政策も、保守強硬派で知られるクルーズ候補とは対照的に、オルーク候補は、銃をこよなく愛するテキサスの人々に、銃規制を強化するよう訴えます。“寛容な移民政策”を唱えて、トランプ大統領がめざす“国境の壁”にも反対の立場です。そんなオルーク候補の追い上げに慌てたクルーズ陣営は、かつて犬猿の仲だったトランプ大統領に応援を頼み、逃げ切りに懸命です。

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Q3)
オルーク候補の“まさかの勝利”もあり得る?
A3)
不可能ではありません。ただ、勝敗の鍵を握るのは投票率です。いま好景気に沸くテキサスは、都市部を中心に移民が流入し、有権者の意識も変化の真っ只中にあります。しかし、オルーク候補を支持するヒスパニック系やリベラルな若者は、白人の保守的な中高年層に比べて投票率が低く、実際に投票に行ってくれるかどうか、蓋を開けるまでわからないのです。はたして投票率の上昇でテキサスの“番狂わせ”は起きるのか?その成否は今度の選挙全体の趨勢を左右するでしょう。

(髙橋 祐介 解説委員)

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