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「就活ルールと日本型雇用」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

大きな議論となっている、いわゆる就活ルールの見直しが始まります。
経団連はきょう会議を開き、2021年春の入社分から、
経団連が主体となる形での新たなルールは作らないことを決める見通しです。
これによって今後は、政府が主導して進める、
新たなルール作りが焦点となります。
担当は竹田忠(たけだ・ただし)解説委員です。

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Q① この話し、就職活動を控えた学生や家族には大変気がかりなニュースだと思うんですが、就活ルールは、今後どうなるんですか?

ひところは、ルールがすべて廃止されるのでは、という不安も出ていましたが、
結局、そうではなくて、今のルールと、日程的には、同じようなルールを、
政府が主導して新たに作る、ということなんです。

Q② 具体的にはどういうこと?

今の就活ルールは、再来年、2020年に入社する人までが対象です。
ここは変わりません。
しかし、2021年に入社する人、
つまり今の大学2年生からは何も決まっていない。
この分について、経団連はきょうの会議で、新たなルールは作らない、
ということを、正式に決める見通しなんです。

Q③ なぜ、経団連が自分で作るのをやめるんですか?

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今の就活ルールは、あくまで経団連が会員企業向けに作っているものです。
ですから、経団連に入っていない、外資系や、中小企業、
ベンチャー企業などは、ルールに関係なく、人材を獲得できる。
これでは不公平だ、ということになるし、
会員企業でも守らないところが出てくる。形骸化です。
そうした中、経団連の中西会長が、
ルールは廃止すべきだと思うと述べて、見直しが始まったわけです。
今度はかわりに政府が、
大学や経済界と協議会を作って、新たなルール作りを進める方針です。
重要な、面接の解禁時期については、
大学4年の6月以降にする、という今の日程の大枠を、
当面維持する方向で協議が進む見通しです。

Q④ 学生の立場からすると、早く決めてもらわないと、困りますよね?

そうなんです。
就活ルールには、いろいろ問題はありますが、
日本企業の雇用の在り方と密接に関係しているので、
いきなりルールだけやめる、となると混乱するんです。

どういうことかというと、
たとえば欧米の採用の仕方は、多くの場合、
基本的に「欠員補充」という方法です。
誰かがやめると、そのつど、同じ仕事ができる人を、即戦力として雇う。
このため若い人の就職は非常に狭き門で、失業率がとても高いんです。

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しかし、日本は、一括採用です。
何の仕事につくかは関係なく、とにかく若い人をまとめて採用して、
会社の中で育てていく。
しかもそれが新卒に集中するので、
目安になるなんらかのルールがないと、教育現場は混乱します。

就活ルールを本当に見直すなら
企業の人材育成も、大学の教育も変わらないといけない。
新たなルール作りでは、
そうした将来への視点も含めて、議論してほしいと思います。

(竹田 忠 解説委員)

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