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「外交舞台裏で大規模演習 その狙いは」(ここに注目!)

津屋 尚  解説委員

ロシア極東のウラジオストクでは「東方経済フォーラム」がきょうから始まりますが、ロシア軍もきょうから、冷戦以来最大規模の軍事演習を極東などで行います。

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Q:非常に大規模なようですが、どのような軍事演習なんですか?
A:ロシア語で「東」を意味する「ボストーク」という演習名がついていて、極東などロシア東部で行われます。ロシア軍の全兵力の実に3分の1にあたる30万人が参加します。
ロシア国防省は、冷戦中の1981年以来最大だと強調しています。
しかも今回は、初めて中国軍も参加することになり、世界の関心が集まっています。

Q:なぜこのタイミングなのですか?
A:意図的にそうしたと言えるかどうかわかりませんが、結果をみれば軍事演習と経済フォーラムが同じ日程になりました。それによってロシアは、習近平国家主席のフォーラム出席も取りつけ、「中国との関係強化」を示すことで、アメリカに圧力をかけようとしているという見方はできると思います。

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ただ、NATOと対峙するヨーロッパ方面とは違って、このアジア地域で、アメリカとの対決を強めようという意図はロシア側にはありません。特に今回は、プーチン大統領自らが経済協力について首脳同士で話し合う会合が行われるさなかですから、ロシア側は言動には神経を使っていると思います。先週、ロシア軍が「北方領土では演習は行わない」とわざわざ日本を意識した発表をしたのも、その表れだと思います。

Q:一方の中国はどうでしょうか?
A:ロシアに比べると政治的な意図は明らかです。
中国軍の参加は軍事演習の一部に過ぎないんですが、中国は「ロシアとの接近」を積極的にアピールし、アメリカや日本をより強くけん制しようとしています。

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中国とロシアは必ずしも「一枚岩」ではないにもかかわらず、隣国の軍事演習を巧妙に利用しようとする中国のしたたかさを感じます。
きょうから始まる軍事演習は、各国の意図や利害が複雑に絡み合うものになりそうです。

(津屋 尚 解説委員)

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