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「アメリカ中間選挙と『ロシア疑惑』」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

イラスト解説ここに注目です。ことし11月のアメリカ議会の中間選挙まであす(6日)で残り2か月となり、共和・民主両党の選挙戦が本格化しています。髙橋解説委員です。

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Q1)
今度の中間選挙、トランプ大統領にとっては、きわめて重要な選挙になりますね?
A1)
そのとおり。喩えて言えば“トランプ流のウインドサーフィン”はあと2年で沈みそうか?それともあと6年突っ走りそうか?大統領にとって、任期後半の政権運営だけではなく、さらにその先の“再選の成否”も占う選挙になるからです。
いま議会の上下両院は、いずれも与党・共和党が多数を占めています。議会は法案や予算審議に絶大な権限を持っていますので、大統領は、共和党の多数を維持することで、2年後の大統領選挙に向けて、弾みをつけたい考えです。これに対して、議席の多数奪還を目指す野党・民主党。その民主党を勢いづかせている要因のひとつが、いわゆる“ロシア疑惑”です。おととしの大統領選挙にロシアが不正に介入し、トランプ陣営と癒着はなかったか、モラー特別検察官が捜査している問題です。

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Q2)
“ロシア疑惑”はトランプ大統領と共和党には“逆風”になるのですね?
A2)
確かにアメリカの多くのメディアは、そうした見方を盛んに伝えています。先月はトランプ陣営の元選対本部長が脱税などの罪で有罪評決を受け、また元顧問弁護士も、別の事件で捜査に協力する代わりに刑を軽減してもらう“司法取引”に応じました。ふたりの今後の証言次第では、大統領自身もいわば本丸の“ロシア疑惑”をめぐり窮地に追い込まれかねないというのです。ところが、そうした一連の疑惑追及は、実は大統領に“有利な波”を起こすかも知れないという見方もあるのです。

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Q3)
どうして?
A3)
中間選挙は投票率が勝敗を大きく左右するからです。アメリカでは、大統領選挙の投票率が毎回だいたい60%前後に対して、中間選挙は40%前後と比較的、低い水準にとどまるため、コアな支持者をどれだけ動員し、投票に行ってもらえるかが鍵を握ります。いま大統領の支持率は、依然低いながらも安定し、疑惑追及に反発した熱心な“トランプ支持者”たちは、むしろ危機感を募らせて、結束を強める兆候もあるのです。このため、中間選挙まで残り2か月間、共和・民主両党が、それぞれの支持層をどれだけ固めきれるかを競う戦いになりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)

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