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「猛暑で牛乳供給にピンチ?」(ここに注目!)

合瀬 宏毅  解説委員

連日、夏の暑さが続く中、心配されているのが9月からのスーパーなどへ牛乳の供給です。合瀬宏毅(おおせひろき)解説委員です。

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Q.牛が夏バテというイラストですか?
そうなのです。日本で生乳を主に生産するのはホルスタイン種という牛ですが、寒い地域が原産で、暑くなるとエサを食べなくなったり、ストレスが溜まったりして、生産量が落ちてくる。
このため夏場は、もともと年間でも生乳の生産量が少ない時期なのですが、今年は特に夏が暑く、死んでしまう牛もいるほどです。
7月の生産量、地域によっては10%以上去年に比べ落ちている所があり、その状況がずっと続いている。

Q.そこで心配されているのが牛乳の供給と言うことですか
はい。しかもこうした中で来週以降、学校給食が再開します。学校給食用は牛乳全体の12%を占め、業界としては、最優先に取り組む必要のある出荷先です。牛が夏ばてで生産量が落ちている上に、学校給食が始まる。このためスーパーなどへの供給が足りなくなるのではないかと心配する声がある。
特に小規模な酪農家が多い北海道以外の地域では、エサ価格の高騰や、TPPなどに対する不安で廃業する農家が相次いでおり、生産量が10年間で20%近く減少しているなど、そもそも供給量に不安を抱えていた。
 
Q.であれば、北海道から持ってくることはできないのか
もちろんこれまでも足りない分は、生産量が多い北海道から、首都圏や近畿地方に船で運んできていた。しかし心配なのは台風。一旦台風が来れば、船は止まってしまう。特に今年は台風が多く、今月もたびたび、北海道からの生乳の輸送がストップしている。
来週も台風が本州に近づきそうなのですが、9月は台風が多く、まさに牛乳の供給は綱渡り状態です。

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Q.消費者としては困りますよね?
そうですね。このため酪農家の中には、牛がエサをたくさん食べるように、屋根に水をかけたり、扇風機を増設したり、さらには牛の毛を刈ったりして、牛の元気回復に懸命の努力を続けてはいる。
ただ、この猛暑、9月の上旬まで東日本や西日本では続きそうで、農家や牛乳業界にとっては、天気や台風の行方に注目せざるを得ない日々が続きそうです。

(合瀬 宏毅 解説委員)

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