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「『貧困とたたかう銀行』日本でも開業」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

貧しい人に無担保で融資を行い、ノーベル平和賞で世界的に有名となった
バングラデシュのグラミン銀行の日本版が、来月、開業することになりました。
竹田 忠 解説委員です。

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Q:貧しい人のための銀行とは、どんなもの? 
これはもともと、バングラデシュの農村部で始まった取り組みです。
担保をもたない人たちに少額のお金を貸す。
そのお金は、生活資金ではない、
あくまで仕事や商売をするためのお金です。
生活資金は使えば、消えてなくなりますが、
仕事で稼げるようになれは、自立への道が開ける。
こうしたことが評価されて、このグラミン銀行をはじめた、
ムハマド・ユヌス博士が2006年、ノーベル平和賞を受賞して、
世界的に有名になったんです。

Q:それが、なぜ、日本に進出するの? 
日本でも困っている人が多いためです。
生活保護を受けている人は210万人にのぼります。
その上、保護は受けていないけれど
生活保護の水準以下の厳しい生活を送っている、という人は
実はこの何倍もいるといわれます。
ワーキングプア問題ともいわれます。
そうした人たちを支えようと
財務省出身で、世界銀行で日本代表理事の経験を持つ
明治学院大学の菅正弘教授が、ユヌス博士に相談をして、
日本でも始めることになったわけです。

Q:無担保で融資をしても大丈夫? 
グラミン銀行は、日本よりも先にアメリカに進出していて、
そこでの貸し倒れ率は、0.2%。
ほとんどちゃんと返済されている。

無論、そのための工夫はいろいろあって、
たとえば日本では、最初の融資は、最大20万円までで、
返済が進めば、融資額をあげていきます。
また金を借りる人は、5人でグループを作って協力してもらいます。
誰かの返済が滞れば、他の人の融資も受けにくくなります。
(連帯保証とは違いますので、誰かの借金を肩代わりすることはありません。)

そして最も重要なのは、
その人が借りたお金を何に使うのか?
資格をとるのか、商売に必要な道具を買うのか?
そういうことについて、銀行の担当者とグループのみんなが
週一回、会議をして話し合う、という相談支援を行います。
これが最大の特徴なんです。
本当に必要なのは、お金だけでなく、
それを活かす知恵や適切なアドバイスです。

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Q:日本でもうまく行くでしょうか? 
結局、日本では、貧困で困っている人に、
チャンとした融資をする仕組みがほとんどない。
途上国生まれの仕組みが、そこを担おうとしている。
待っている人はたくさんいると思います。
来月、日本記者クラブで開業の発表を行う予定です。

(竹田 忠 解説委員)

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