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「日本経済に影落とす アメリカの通商政策」(ここに注目!)

神子田 章博  解説委員

米中貿易摩擦の日本経済への影響が懸念される中、今年4月から6月までのGDP=国内総生産の統計がまもなく発表されます。

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Q 今回発表される成長率、どのような数字になりそうですか?

A 民間の調査会社などによりますと、GDPの伸び率は、前の三か月に比べてプラス0. 1%から0.5%の予測と、力強さには欠けるもの、2期ぶりにプラス成長に転じる見通しです。米中摩擦の影響はまだ限定的だったうえ、オリンピック・パラリンピックにむけた建設関連などの投資が好調だという見方が広がったためです。ただ、今年の後半は懸念材料を多く抱えています。

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Q 具体的にはどのような点でしょうか?

A アメリカ政府が、中国の知的財産権の侵害を理由に、中国からの輸入品に前例のない規模で高額の関税をかけようとしていることです。これが中国経済を減速させ、さらに中国に資源を輸出する新興国の景気を冷やす、それがひいては日本経済にもマイナスの影響を与えることが考えられます。さらに中国がアメリカに輸出する製品には、自動車部品の原材料や液晶ディスプレイなど日本製品も多く含まれており、関連する産業での生産や投資の勢いをにぶらせることも懸念されます。

Q そういわれると確かに心配ですが、日本としては中立の立場から米中の対立関係を解消に向かわせることはできないんでしょうか。

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A トランプ大統領と親しい関係にあるという安倍総理大臣ですが、トランプ氏も秋の議会の中間選挙を前に自らへの支持固めに余念がなく、今回ばかりは聞く耳をもちそうにありません。それどころか、きついパンチが日本に飛んでくるおそれもあります。というのも、アメリカはいま自動車の輸入に20%の高額の関税をかけることを検討しています。日本からアメリカへは年間170万台規模の車を輸出していますが、実際に20%の関税がかかればメーカーにとっては、車一台あたり66万円の負担が増え経営に大きな打撃を与えます。また関税があがった分を価格に上乗せしようとすれば、今度は輸出が減って、自動車部品メーカーもふくめた広い範囲でマイナスの影響がでるおそれがあります。今後の日本経済、トランプ政権の通商政策に大きく左右される展開となりそうです。

(神子田 章博 解説委員)

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