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「『長崎原爆の日』国連トップ初参列」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

きょう(9日)長崎は、原爆投下から73年となる“原爆の日”を迎え、平和祈念式典に初めて国連のグテーレス事務総長が参列します。髙橋解説委員です。

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Q1)
現職の国連トップが“長崎原爆の日”の式典に参列するのは今回が初めて?
A1)
そうなのです。去年1月に就任したグテーレス事務総長は、核軍縮が停滞している現状に強い危機感を表明してきました。「長崎と広島をくり返さないこと、被爆者を2度と出さないことが国連のメッセージだ」と語っています。きのう安倍総理大臣とともに長崎に入り、被爆者団体の代表から直接話を聞き、きょうは原爆資料館も視察する予定です。そんな国連トップが初めて参列する式典で、長崎市の田上市長は“平和宣言”を読み上げ、去年国連で採択された核兵器禁止条約の早期発効に向けて「各国に協力を呼びかけたい」としています。

Q2)
核兵器禁止条約が発効するメドは立ちそうなのですか?
A2)
現状は厳しいと言わざるを得ません。条約発効には50か国の批准が必要なのですが、これまでに署名した60か国のうち、今のところ批准を済ませたのは14か国にとどまっています。しかも、この条約に日本は参加していません。北朝鮮による核の脅威が続くなか、核廃絶というゴールは同じでも、核保有国も巻き込んだ段階的な核軍縮が現実的だ。そう政府は条約不参加の理由を説明しています。

Q3)
では国連トップが式典に参列しても、核軍縮の進展は難しい?
A3)
道のりが遠く険しいのは確かです。ただ、僅かながら明るい兆候もあります。長崎市によりますと、きょうの式典には、過去2番目に多い71の国々から代表が参列する見通しです。その中で、国連事務総長と並んで、もうひとり注目の人物がいます。アメリカのハガティ駐日大使です。先日“広島原爆の日”の式典にも参列したハガティ大使は、「核兵器のない世界は誰もが望んでいる」と述べ、トランプ大統領に被爆地への訪問要請を直接伝える考えを示しています。核兵器がもたらした人道に反する“被爆の実相”を、ひとりでも多くの指導者が、見て、聞いて、理解を深め、世界に向けて発信する。そうした地道でたゆまぬ取り組みが、核廃絶への機運を高めるためには不可欠です。

(髙橋 祐介 解説委員)

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