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「アメリカ制裁発動 イランの対応は?」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

アメリカのトランプ政権は、5月にイラン核合意から離脱したことにともない、7日、イランに対する独自の経済制裁を発動させました。イランはどう対応するでしょうか。出川解説委員です。

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Q1:
トランプ政権が、イランへの独自制裁を発動した狙いは何ですか。

A1:
トランプ大統領は、制裁の発動に先立って、「イランのロウハニ大統領が希望すれば、前提条件なしに首脳会談を行う用意がある」と述べました。北朝鮮と同じように、イランに最大限の圧力をかけて、交渉のテーブルに着かせ、現在の核合意に代わる新たな合意を結ぶ狙いがあると見られます。イランによるウラン濃縮活動の完全な停止に加え、ミサイル開発の停止や、シリアからの撤退なども盛り込みたいようです。

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Q2:
イランは、どう対応するでしょうか。

A2:
イランは強く反発しており、トランプ政権の制裁圧力に屈する形で交渉のテーブルに着くとは、まず考えられません。ロウハニ大統領は、話し合いたいと言うなら、まず、トランプ政権が制裁などの敵対的な行動をやめるべきだと述べています。

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イランは、その一方で、先週、ペルシャ湾で軍事演習を行い、エネルギーの重要な輸送ルートであるホルムズ海峡を封鎖する能力があることを見せつけました。しかし、実際に封鎖すれば、イラン自身も原油を輸出できなくなりますので、アメリカをけん制する意味合いが大きかったと思います。

Q3:
日本にも大きな影響を与える問題ですが、今後、どこに注目すればよいですか。

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A3:
イランでは、通貨リアルの価値が暴落し、物価が高騰して、失業率も高止まりしており、政府の無策ぶりに抗議する市民のデモも、各地で起きています。自動車産業などを対象にした今回の制裁で、イランの雇用や物価にどんな影響が出るのか、そして、最高指導者ハメネイ師の判断に注目する必要があります。トランプ政権は、制裁の第2弾として、今年11月に、イランの原油の輸出を断ち切る制裁を発動する予定で、日本を含む各国に協力を求めています。これに対し、ハメネイ師は、「原油の輸出が確保されなければ、イランも核合意から離脱する」と述べています。もし、そうなれば、イランは核開発計画を再開し、緊張が一気に高まるでしょう。トランプ流の危険な賭けが、どんな結果を招くか、目を離すことはできません。

(出川 展恒 解説委員)

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