「経産省VS文科省 未来の教育論争」(ここに注目!)
2018年07月26日 (木)
西川 龍一 解説委員
AIなどの技術が進む中で、未来の教育をどうするのか、経済産業省と文部科学省のせめぎ合いが起きていると言うことです。
Q1.教育と言えば、文部科学省だと思いますが、なぜ、経済産業省が出てくるのですか?
A.AIやビッグデータの活用といった技術が進む中で、未来の教育にこうした技術を取り入れることが大きなビジネスチャンスになるからです。舞台は、「エドテック(EdTech)」。最近の教育界のキーワードです。
Q2.どういうことですか?
A.Education と Technology、つまり、教育と技術を掛け合わせるということで、最新のIT技術を学校教育に活用しようという意味です。経済産業省は、「エドテック」の導入の実証事業を始めることにしていて、26日、教育現場からの報告会を開きます。今を前提としない2030年の教室で、▽授業の効率化にITをどう活用するのか、や、▽AIが多様な生徒のニーズを個々に分析して最適な学習方法を提示するといった具体的な事業の内容が発表されます。産業界の育成にもつなげようというわけです。
Q3.文部科学省はどういう立場なのですか?
A.産業界の立場をストレートに教育現場に入れるというわけにはいかないという考えです。文部科学省は、AI技術などが高度に発達した社会で生きることになる子どもたちにどんな能力が必要なのかを、有識者や若手の職員が議論し、先月報告書をまとめました。学びの在り方の変革が必要だとして、今の学校で行われている一斉一律授業や同じ学年集団での学習、学校の教室を使う学習の見直しなどにも言及しています。文部科学省は具体化に向けて、来年度予算の概算要求にも反映させる考えです。
Q4.未来の学校に向けた議論、どう進めていけばいいのでしょうか?
A.経済産業省も文部科学省も、仕事の質が大きく変わると言われるAI時代に向けて未来の教育を変えていくという目的は同じです。ただ、教育の世界には産業界のように白黒をはっきりと割り切れないところがあります。時代にあわせた人材育成のあり方を、国をあげて考えていく必要があります。
(西川 龍一 解説委員)