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「米中貿易戦争に歯止めをかけるのは」(ここに注目!)

神子田 章博  解説委員

アメリカのトランプ政権は6日、中国からの輸入品に高額の関税をかける措置を発動します。 

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Q 神子田さん、トランプ大統領が拳銃をつきつけて、また物騒な絵ですね?

A よく見ると弾はコルクなんですが、まさに貿易戦争の火ぶたが切られようか、という局面です。アメリカは中国がアメリカ企業の知的財産権を守らないとして、国内法に基づいて一方的制裁を課そうとしています。まず最初に、中国からの輸入品340億ドル分について25%の関税を上乗せします。さらに来月にも160億ドル分について25%の関税を上乗せし、制裁の規模はあわせて500億ドル相当にのぼります。これに対し、中国は、アメリカの措置は国際ルールに違反しているとして、同じ規模のアメリカからの輸入品に25%の関税を上乗せする対抗措置をとるとしています。

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Q アメリカはなぜ、二段階に分けて、関税を引き上げるのか?

A それは、当初用意していた500億ドル規模の制裁の対象品目の中に、テレビやスマホなど一般の消費者が買い求める製品が含まれていて、関税の引き上げで価格が上がることに対し、アメリカの国民から強い反発が起きたからです。その結果、この160億ドル分についてリストの練り直しをせまられたため、遅れて実施することになりました。私は、ここに、トランプ政権の保護主義的な動きに歯止めがかるポイントがあるとみています。

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Q どういうことでしょうか?

A アメリカは、中国が対抗措置をとった場合に、さらに大規模な2000億ドル相当分の製品に高い関税をかけることを検討しています。ただそれだけ規模が大きくなりますと、高い関税の対象となる品目に家電や衣料品など一般の消費者に近い製品まで含めざるをなくなります。そうなると、様々な物価の上昇を招くことになります。

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トランプ大統領には、高い関税で海外からの輸入が減れば、国内の労働者を守ることにもなるとして、秋の議会の中間選挙に有利に働くという思惑もあるようですが、物価が上がり国民の反発がひろがれば、逆効果となりかねません。国際社会の中で我が道をいくトランプ大統領に歯止めをかけるのは、アメリカの国民ということになるかもしれません。

(神子田 章博 解説委員)

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