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「北朝鮮情勢 ロシアの思惑は?」(ここに注目!)

石川 一洋  解説委員

来週米朝首脳会談を前にロシアが動き出しました。先週はラブロフ外相が金正恩委員長と会談、そして明日からプーチン大統領が中国を訪問します。石川解説委員に聞きます。

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Q ロシアの思惑とは?

A 一言でいえばロシアも忘れるなということです。習近平主席との首脳会談では「北東アジアの緊張を緩和して段階的な非核化を支持する」との中露の立場を表明するものと思われます。北朝鮮について、しばらく鳴りを潜めていたロシアが気になる動きを示しています。

Q どんな動きですか

A 先週金委員長と会談したラブロフ外相は、プーチン大統領からだとして、ロシア製の飾り箱をプレゼントしました。絵は狩りをする殿様というモチーフで、朝鮮半島で好まれる鶴も描かれています。こうした飾り箱は、普通は、女性が貴重なものや大事な手紙などを保管するためのもので、ラブロフ外相は金委員長にカギを渡して、秘密はこの中に保管してください、と述べました。

Q なんか思わせぶりな贈り物ですね。

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A 「我々の手紙のやり取りを忘れないでね」というメッセージではないでしょうか。実はプーチン大統領は金委員長と親書のやり取りを通じて意思疎通を図ってきたというのです。プーチン大統領は「金委員長が勝利者だ」と述べるなどその外交手腕を高く評価していました。わざわざ公の場でプレゼントの品を映像付きで明らかにするのはロシアも影響力があるのですよということを内外にPRする狙いがあるものと思われます。

Q 気になるのは二人の手紙のやり取りの中身ですね。

A プーチン大統領は、アメリカは約束を破るから用心するようアドバイスしている可能性があります。金委員長もアメリカの一国支配に対抗するロシアを高く評価しています。このロシアの動きを「何やっているのだ」と警戒気味に見ているのがトランプ大統領です。

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ロシアは日ロを加えた六か国協議の再開を主張し、今月は韓国の文大統領の訪ロ、そして9月のウラジオストクでの経済フォーラムには安倍総理と習主席が出席することになっています。さらに金委員長もロシアに招待し、北東アジア外交を活発化させていいます。米朝の結果を睨みながら、金委員長の訪ロを実現して主導権を握る機会をうかがっているものと見られます。

(石川 一洋 解説委員)

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