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「海保『観閲式』復活するけれど...」(ここに注目!)

津屋 尚  解説委員

海上保安庁は、尖閣諸島の警備を優先して見送ってきた「観閲式」をあすとあさって(19日と20日)、6年ぶりに実施することになりました。津屋解説委員です。

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Q:海上保安庁の「観閲式」ってどんなものなんですか?

A:20隻以上の巡視船などが全国から東京湾に集結して、イラストにあるような海上パレードや大規模な洋上訓練を披露します。国民の理解と現場の士気を高める重要行事と位置づけられていますが、中国が尖閣諸島での活動を活発化させた6年前から、海上保安庁は現場での警備に集中するため実施を見合わせてきました。でも今年は「海上保安庁発足70年」の節目ということもあり復活させることにしたんです。

Q:尖閣諸島の対応はどうなっているんですか?

A:「中国海警局」は、挑発行為こそしなくなりましたが、機関砲で武装した船も現れるようになり、難しい対応が続いています。海上保安庁は、体制が強化されて、全国から応援の船をかき集めて対応するという事はなくなっていますが、不測の事態に備えて一瞬たりとも気を抜けない状況は変わっていません。

Q:日中関係は改善しているんですよね?

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A:確かに先の日中首脳会談で経済分野を中心に関係改善がはかられました。しかし中国は「海洋強国」を目指す“大方針”を変えていません。現場での衝突は避けながらも、当局の船が常にそこにいるという“既成事実を積み重ねる”活動は続くだろうと思います。しかも、尖閣諸島で活動できる1000トン級以上の大型船の保有数を比較すると、6年前は中国の方が少なかったんですが、今では海上保安庁をはるかに上回って、2倍以上にもなっています。

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中国の安全保障上の関心が、太平洋などにどんどん広がっている現状を考えますと、中国海警局の船もその数に物を言わせて、尖閣諸島以外にも活動範囲を広げる可能性もあります。とはいえ、船の「数」で対抗するのは限界があるので、
外交を含めた“総合力”と、中国の攻勢をしのいでいく“知恵”が必要だと思います。

(津屋 尚 解説委員)

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