NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「グアテマラの思惑は?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

中央アメリカのグアテマラは、きょう(16日)、イスラエルの首都と認定したエルサレムに大使館を移転します。アメリカに続く大使館移転にはどんな思惑があるのでしょうか?髙橋解説委員です。

C180516_0.jpg

Q)
グアテマラと言いますと、日本ではコーヒーは有名ですがあまり馴染みがありませんね?

A)
そう言われるだろうと思って、地図をご用意しました。カリブ海と太平洋に挟まれたグアテマラ。人口およそ1700万の農業国です。長年に及んだ内戦が終わった後も、多くの国民が貧困に苦しみ、最大の貿易相手で最大の援助供与国がアメリカです。そのアメリカに、いち早く追随するかたちでグアテマラも、エルサレム市内のビルの一角に大使館を移転します。無論イスラエルは大歓迎。パレスチナ側は猛反発しています。

C180516_3.jpg

Q)
そうした反発はわかりきっていたはずなのに、なぜグアテマラは大使館を移転する?

A)
もともとグアテマラは、イスラエルが70年前に建国を宣言した当初から、古い友好関係がありました。加えて、今回の大使館移転には、国際社会から強い批判を浴びているトランプ大統領に対する、いわば“忖度”もうかがえます。
と言いますのも、現在のジミー・モラレス大統領は、テレビタレント出身で「政界のアウトサイダー」「グアテマラのトランプ」とも呼ばれる人物です。大統領に就任したのは、こちらが先ですから「元祖トランプ」と言えるかも知れません。しかも、聖書の教えを重んじて、イスラエルを擁護する「福音派」と呼ばれる保守的なキリスト教徒です。そんなモラレス大統領には、実はもうひとつ“別の思惑”があるようです。

C180516_5.jpg

Q)
どんな思惑ですか?

A)
グアテマラからアメリカへの不法移民問題です。トランプ政権は今、公約に掲げた不法移民の取締りを強化しています。アメリカ国内でグアテマラからの不法移民は100万人を超えると推定され、大量に強制送還されますと、グアテマラの大混乱は避けられません。そこで、内戦や自然災害を理由に合法的なアメリカ滞在を認める特例制度の対象からグアテマラを外さないで欲しいというのです。アメリカに続いて大使館のエルサレム移転を決断したグアテマラ。そこには、大国の意向によって命運を左右される小さな国の現実が見え隠れしています。

(髙橋 祐介 解説委員)

キーワード

関連記事