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「どうなる原油価格の行方」(ここに注目!)

神子田 章博  解説委員

アメリカの「イラン核合意」からの離脱を受けて、原油価格の上昇傾向が続いています。神子田解説委員です。

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Q 神子田さん、ガソリン価格をみてとまどい顔の日本の消費者たちがいますが、原油市場のむこう側にはトランプ大統領の顔が見えますね。アメリカとイランの関係が日本にも影響を及ぼすということですね?

A そうなんです。イランの核合意というのは、イランの核開発を大幅に制限する代わりに、アメリカや欧州の主要国などがイランに対する制裁を解除するというものです。先週、トランプ大統領は、この合意から離脱して、過去最大級の制裁を発動すると発表しました。制裁は、イランからの原油の輸出を大幅に減らすことを狙ったものになるとみられます。原油の国際市場では、イランからの供給が半減するのではないかという懸念が強まり、原油の代表的な指標であるWTIは3年半ぶりに1バレル70ドルを突破しましした。

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こうなりますと、原油を輸入する日本でも、原料や燃料の価格が値上がりし、製品価格の上昇を通じて、消費者の財布を直撃することになるわけです。実際に日本のガソリン価格はすでに3年5か月ぶりの水準に値上がりしていて、影響が広がり始めているんです。

Q 心配な動きですが、原油価格は今後もどんどんあがっていくのでしょうか?

A それはまだわかりません。というのは、いま消費国には原油の在庫がある程度あります。
さらにアメリカで生産がさかんなシェールオイル。こちらは特殊な方法で採掘するので生産コストがかかるのですが、原油価格が値上がりすれば、コストをかけて生産しても採算がとりやすくなって、増産の動きが強まります。そうなれば、原油市場への供給が増えることになりますから、価格が一本調子で値上がりすることはないのでは、という見方も出ています。

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 ただ、アメリカによる制裁の影響で、今後、各国の企業がイランとの取引を手控え、原油の供給が想定以上に減ることも懸念されます。原油価格が一段と高騰する可能性も残っているわけです。私たち日本人の財布と直結する問題だけに今後もイランを取り巻く国際情勢に注目していきたいと思います。

(神子田 章博 解説委員)

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