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「原発蒸気漏れトラブル 広がる不信」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

玄海原発の蒸気漏れのトラブルでは、電力会社の対応にも地元で不信感が広がっている。水野倫之解説委員。

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地元はトラブルの通報が遅かったことに対して、不信を募らせている。
立地自治体の佐賀県に電話連絡があったのは2時間あまり後。
また30キロ圏内にある伊万里市にはさらに1時間遅く3時間後。
地元との協定では、放射性物質の漏洩など異常事態が起きたときには速やかに報告することが義務付けられているが、九州電力は今回はそこまでではないと判断し、時間がかかったと見られる。
ただ佐賀県は、異常事態とまでいかなくても原発で何か異変があった段階ですぐに連絡してほしいと要請していた。
知事は「空振りでもいいので、もっと早く連絡すべき」と述べ、今回の遅れに合理的理由あるのか、九州電力に回答を求めている。

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背景には玄海原発周辺には多くの離島があり、事故で安全に島の外に逃げられるのか、住民避難に課題を抱えているという事情も。
スムーズな避難の大前提は原発で何が起きているのかその情報が早く、伝達されること。
再稼働に当たって九州電力は「地元と丁寧なコミュニケーションに努める」という社長コメントも発表しているので、今後は地元との連絡をもっと密にしていかなければ。

(水野 倫之 解説委員)


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