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「シリア デモ参加者 難民認定は?」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

シリアの紛争が今月、8年目に突入しました。そのシリアで反政府デモに参加し、日本に逃れてきた人たちが難民と認めるよう求めた裁判の判決が、20日、東京地方裁判所で言い渡されます。

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Q.訴えていたのはどんな人たちですか?

2012年にシリアから日本に逃れてきたものの、難民認定されなかった20代と30代の男性4人です。原告の1人は、反政府デモに何度も参加し、治安部隊の捜索を受けるなどしたため身の危険を感じて国外に脱出したと述べていますが、難民認定を審査する法務省は、「デモに参加したからといって必ずしも政府から迫害を受けるおそれがあるとはいえない」として認定しませんでした。紛争から逃れたシリア人が難民認定を求めて訴えを起こした初めてのケースで、「個人の危険性」についてどのような判断が示されるかがポイントです

Q.「個人の危険性」?

ヨーロッパをはじめ先進国の多くは、シリアから逃れてきた人であれば7割から9割が難民と認定され、保護されてきました。しかし、日本では、紛争地域から逃げてきたというだけでは難民と認定されず、政府から個人として特定され狙われていることなど、固有の危険性を証明しなくてはなりません。アサド政権と反体制派の戦闘が8年目に入り、これまでに35万人が犠牲となり、550万人がシリア国外に逃れました。市民は常に危険と隣り合わせで、反政府デモに参加した人は当局から目をつけられ、いつ拘束されてもおかしくないのが実情ですが、日本の難民認定基準は他の国々よりも厳しいのです。

Q.日本では難民と認められたシリア人はどれだけいるのですか?
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シリアの紛争が始まってから日本で難民認定の申請をした人は81人、うち認定された人は12人です。50人余りは人道的な配慮により一時的な在留資格が与えられましたが、十分な支援は得られていません。紛争地域で個人が政府から迫害を受けるおそれがあると証明するのは難しいだけに、今のやり方でほんとうに難民を救うことができるのか、日本の難民保護のあり方が問われています。

(二村 伸 解説委員)

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