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「『飯塚事件』きょう決定」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

平成4年、福岡県飯塚市で小学生の女の子2人が殺害された事件で、元死刑囚の再審=裁判のやり直しをみとめるかどうか、6日午前に福岡高等裁判所で決定が出されます。

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Q:注目されているのはどういう点でしょうか。

A:久間三千年・元死刑囚の死刑が平成20年にすでに執行されているという点です。死刑が執行された人の再審が認められたケースは過去にありません。仮に再審開始が認められてもすぐに確定するわけではありませんが、確定して再審で無罪となれば、すでに死刑を執行した人の有罪が覆る事態となる可能性が出てくるわけです。

Q:今回はどういう理由で再審請求が行われたのでしょう。

A:「飯塚事件」では、元死刑囚が犯人であることを直接、明確に示す物的証拠がありません。裁判でも無罪を主張していました。有罪の根拠の一つが、当時のDNA鑑定で、犯人のものとされるDNAの型が本人の型と一致したとされたことです。

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Q:DNAなら間違いないと受け止める人も多いと思います。

A:しかし、警察でDNA鑑定が使われるようになったのは平成元年からで、当時の精度は現在よりも大幅に低く「数百人に1人を識別する程度」と言われています。当時の鑑定手法は再審で無罪が確定した「足利事件」でも使われていました。足利事件は新しい技術で再鑑定が行われた結果、無罪となりました。しかし今回は再鑑定をするための遺留物がすでに残っていないことが分かっています。

Q:決定のポイントはどういう点でしょうか。

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A:当時の鑑定結果の信用性だけでなく、目撃証言の信用性も争点です。弁護団は「現場近くで元死刑囚の車と同じ特徴の車を見たという目撃証言は疑問だ」などと主張しています。かつての裁判の判決で死刑の根拠とされたこうした証拠を、裁判所が総合的にどう判断するかが焦点になってきます。

(清永 聡 解説委員)

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