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「商工中金の『あり方』は?」(ここに注目!)

今井 純子  解説委員

政府系金融機関の「商工中金」が不正な融資を繰り返していた問題で、政府は有識者の検討会を立ち上げ、商工中金のあり方について検討をはじめました。今井解説委員。

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Q)商工中金のあり方。何が問われているのですか?

A)存在意義そのものと言っていいと思います。
商工中金は、金融危機などの緊急事態のときに、国の税金で金利を低くしておカネを貸す、特別の融資制度を悪用して、本来は対象にならない中小企業に対しても、書類を改ざんするなどして、不正な融資を繰り返していました。政府が出資をする特別な金融機関として、この制度の実績を増やすことで、存在意義を示したいという思惑が背景にあったとみられます。これに対して、先週開かれた有識者会議の初会合では、厳しい意見が相次ぎました。

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Q)どのような意見ですか?

A)本来は、民間の地銀がやらない、補完的な役割を果たすべきところを、「税金で金利を低くして客を奪い、民業を圧迫している」「制度は廃止すべき」という意見。さらに「資金が余っているところに、おカネを出すことで、効率の悪い企業が温存され、むしろ地域の弱体化を招いている」こうした声もあがりました。

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Q)厳しいですね。商工中金の存在意義はあるのでしょうか?

A)それが「ある」という意見も相次いだのです。商工中金は、地銀などとは違って、全国にネットワークを持っています。それを活かして、例えば、「後継ぎがいない企業に、他の地域から事業を引き継ぐ人や企業を探してきて橋渡しをする」。あるいは「儲けを増やして若者がきてくれる企業へと、事業の再生や販路の拡大を支援する」。こうした、地銀などが苦手としている分野に特化して、人材やノウハウを提供する役割に力を入れるのであれば、存在する意義があるという意見です。規模の縮小を迫られる可能性があり、簡単ではありません。ですが、厳しい対応を受け入れてでも、本当に「地域の活性化に役立つ」金融機関として生まれ変わることができるのか。今後も、商工中金が存在する意義を世の中に認めてもらうためには、この点が問われることになりそうです。

(今井 純子 解説委員)

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