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「緊迫 米韓合同軍事演習へ」(ここに注目!)

出石 直  解説委員

北朝鮮による弾道ミサイル発射計画をめぐって朝鮮半島情勢が緊迫している中で、来週の月曜日からアメリカ軍と韓国軍による定例の合同軍事演習が始まります。
出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

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Q1.この合同軍事演習は定例のものだということですが、今年はいつも以上に注目されていますね。

A1.毎年この時期に行われる定例の訓練なのですが、今回はこれまでとは状況がまったく異なります。キム・ジョンウン委員長とトランプ大統領がともに激しい言葉による挑発を繰り返し、先行きが見通せない中で、北朝鮮のいわば喉元で合同軍事演習が行われるのです。演習に強く反対している北朝鮮は、グアム島周辺への弾道ミサイルの発射準備を終えたとしています。今後の展開次第では、緊張がさらに高まる恐れがあります。

Q2.ここに来て対話ムードも出てきているように思うのですが。

A2.その通りです。アメリカのマティス国防長官とティラーソン国務長官は「北朝鮮が挑発をやめれば交渉する用意がある」とメッセージを送っています。
キム・ジョンウン委員長も先日、部隊を視察した際「アメリカの行動をもう少し見守る」と述べたと国営メディアは伝えており、トランプ大統領もツイッターで「賢い決断を行った」と応えました。

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とはいえ、どちらも「北朝鮮が挑発をやめれば」、「アメリカが対北朝鮮政策を改めれば」という条件付きの言い方です。これでひと安心とは到底言えません。

Q3.危機を回避するためには何が必要でしょうか。

A3.挑発に対して制裁をし、制裁に反発して挑発をするという悪循環を断ち切ることだと思います。まずは挑発を自制し対話につなげるという、これまでとは逆のサイクルにもっていく必要があります。もちろんこれも簡単ではありません。

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北朝鮮とすれば、圧力に屈して弾道ミサイルの発射をやめたとは思われたくないでしょう。アメリカも、半島情勢が緊迫しているこの時期に、有事に備えた軍事演習を取りやめるわけにはいきません。最後はキム・ジョンウン委員長とトランプ大統領、この2人の指導者が、挑発的な言動を自制できるかどうかにかかっていると思います。つまらぬ意地の張り合いで事態がさらに悪化することだけは避けてもらいたいものです。

(出石 直 解説委員)

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