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「竹いかだで挑む "3万年前の航海"」(ここに注目!)

土屋 敏之  解説委員

▼今から3万年前、人類が日本列島に移り住んだ大航海を再現しようという、国立科学博物館などのプロジェクトが、来月、台湾で実験航海に挑む。

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 日本列島にはおよそ3万年前に大陸から人類が移り住んでいたとされていますが、その道筋は①サハリンから北海道に渡るルート ②朝鮮半島から対馬経由のルート ③台湾から沖縄に渡るルートの3つあったと考えられています。沖縄ルートは海を渡る距離が長くどうやって渡ったのかが大きな謎で、人類学者の海部陽介さんらのグループが科学的に検証しようとしているのがこのプロジェクトです。
 まず去年7月に日本最西端の与那国島から西表島へ手こぎの草舟で渡ろうとしましたが、自力で到達することはできませんでした。

▼今年の実験航海にはどんな違い?

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 今回は台湾で船の種類を変えて試します。3万年前の技術で作れる舟は限られていて、去年は与那国島に生えていた草を束ねて舟にしました。しかし、草舟では時速3、4キロしか出せなかったため、潮流に流されてコースを外れてしまいました。そこで今回はもう一つの候補とされていた「竹」を使って、より軽くてスピードが出せるよう、こうした形の筏を作っています。台湾のいわゆる先住民の人たちがかつて竹筏で漁をしていたのを参考にしました。漕ぎ手はシーカヤックのガイドなど手こぎの舟に慣れた男女5人が乗り込む予定です。

▼どんな航海をする?

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 今回は台湾本島から30km東の離島に向けて潮流を横切って渡れるかを試します。台湾から沖縄の島々に渡るには黒潮の速い流れを横切ることになり、竹筏で実際にどれだけの速度を出せるのかが注目されます。来月頭から漕ぎ手が現地で練習をした上で、中旬に実験航海を行う予定です。
 そして、来年さらに舟の技術や方角を知る方法などの検討を重ね、2019年に台湾から与那国島へ200km近い大航海に挑む計画です。

(土屋 敏之 解説委員)

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