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「文化庁の京都移転 地元とのズレ」(ここに注目!)

名越 章浩  解説委員

文化庁が、平成31年度以降に京都に全面移転するのを前に、新年度から一部が先行して京都に移転します。
名越章浩解説委員がお伝えします。

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Q、なぜ、文化庁が移転することになったのでしょうか?
A、文化庁の移転は、安倍政権が掲げる「地方創生」の1つとして決まりました。
もともとは、中央省庁の中の消費者庁や中小企業庁など7つの機関が移転の対象にあがっていたのですが、唯一、全面移転が正式に決まったのが、文化庁でした。
地方創生の試金石となるのか、注目されています。

Q、でも、新年度からは、一部の移転なのですね?
A、そうです。
今回は、職員およそ230人のうち、10人が京都にうつり、全面移転に向けた準備を進めることになっています。
しかし、ここにきて京都側と、文化庁側とで、本質的な考え方のズレが浮かび上がってきています。

Q、どういうこと?
A、簡単にいうと、京都側は、1日でも早く全面移転を実現させたいと、門を開いて待っているのですが、文化庁側は、国会対応など、一部の重要な部署は出来るだけ多く東京に残しておきたいと考えているのです。つまり、全面的な移転は難しく、割合をどの程度にするのか、今後の課題になってきそうなのです。

Q、どうして、こういうズレが生まれたのでしょうか。
A、そもそも、文化庁に限らず、どこの省庁も、国会対応や予算の交渉があるため、地方移転には二の足を踏んでいました。
また、京都は近くの奈良と共に文化財の宝庫ですけれども、文化行政は、舞台芸術や映画、音楽などの分野も大事で、そうした分野は、東京に本社や中枢機能がある団体が多くあります。
そういう団体からは、「移転されると文化の衰退につながるのではないか」という懸念の声が根強くあるのです。

一方で、文化庁が国会対応することは少なく、東京じゃないとできない仕事はどの程度あるのか、その中身が国民には分かりづらいという意見もあります。

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Q、どうなるのでしょうか。
A、当分、駆け引きは続くと思います。
大事なのは、もっと国民のプラスになる文化行政とは何かという視点です。
しっかりと議論を深め、説得力のある移転の効果が、国民にわかりやすく示されることを期待したいと思います。

(名越 章浩 解説委員)

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