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「雪崩被害は防げなかったのか」(ここに注目!)

松本 浩司  解説委員

この雪崩事故について、松本解説委員に聞きます。

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Q)雪崩は予測できなかったのでしょうか?

A)
引率した教師たちは登山経験が豊富ですから、一般的に雪崩が起きやすい状況にあるということはもちろん認識していたと思われます。

現場付近には前日の午前中に雪崩注意報が出ていました。
付近の観測点では、当日の午前1時過ぎから雪が降り始め、朝までの間に30センチ以上積もりました。

この季節としては大雪で、専門家は古い雪の表面が固く締まった上に新しい雪が大量に積り、新雪が滑り落ちる表層雪崩が起きた可能性が高いと見ています。

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Q)教師たちは、登山は中止したのですね?

A)
教育委員会によりますと、きのうは2泊3日の講習会の最終日で登山を予定していましたが、雪のために朝、中止の判断をしました。
その代わりに第2ゲレンデの周辺(黄色で示した付近)で、深い雪の中を進む「ラッセル」の訓練をしていました。

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スキー場の営業は20日で終わっていますが、スキー場を運営する那須町によりますと、第2ゲレンデの上はたびたび雪崩が起こる場所だということです。

シーズン中はひんぱんにパトロールをしていて、小さな雪崩や亀裂が見つかり第2ゲレンデを閉鎖することが1シーズンに数回はあるということです。
そういうところでラッセルの訓練が行われていました。

Q)登山を中止したあとゲレンデ周辺での訓練を続けた判断がポイントになりそうですね。

A)
この講習会は50年以上の長い歴史があって、最近はいつも同じ場所で開催されているということです。

登山の専門家は「雪のため登山を中止しただけに、『最後にきびしいラッセルを経験させて講習会を締めくくりたい』という指導者としての気持ちはとてもよくわかる。ただ、よく知った山だけに、油断がなかったのか、詳しい調査を待ちたい」と話しています。

自然の中での活動はリスクが必ずありますが、教育活動として行う以上、安全に最大限の配慮が求められるのは言うまでもありません。

事故を防ぐことができなかったのか、雪崩の原因と当時の判断を十分に検証する必要があります。

(松本 浩司 解説委員)

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