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「スー・チー氏来日 問われる日本外交」(ここに注目!)

道傳 愛子  解説委員

ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問が来日しました。3月に政権が発足してから初めての来日です。道傳解説委員。

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Q    来日のどこに注目でしょう。

A    タイミングです。アメリカが先月、軍部に近い企業への経済制裁を全面解除したばかりだからです。ミャンマーは軍事政権下で制裁を受け孤立していましたが、今まさに開国の時期を迎えているとも言えるのです。日本の企業も、これまで制裁を受けているミャンマーの企業とは取引に踏み出せない空気がありましたが、これで連携や投資の機会が広がることを日本もミャンマーも期待しているのです。

Q    颯爽とした姿のスー・チーさん、先を急いでいるように見えますが。

A    民主化の成果を目に見える形で示さなければならない大事な時期だからです。自分は「大統領を超える存在」と言った通り、事実上の指導者として国を引っ張っています。政権発足から半年、政権の過渡期で経済が停滞したことも率直に認め、国民の大きな期待が落胆に変わるという危機感もあります。民主化を後戻りさせないためには経済が成長し生活が良くなったと国民が実感できることが大切です。そのために日本から投資を呼び込み、雇用につなげたいと考えているのです。

Q    日本側はどんな訪問にしたいと考えているのでしょうか。

A    安倍総理、岸田外務大臣や経済界との会談、天皇皇后両陛下との会見も予定されていることから日本側も極めて大事な訪問と考えていることがわかります。スー・チー氏の訪問に会わせて、制裁が解除されたばかりの企業も含む30人近く、ミャンマーから初めて大型経済ミッションが来日し、日本政府や企業と投資や支援について具体的な話し合いをすることにもなっています。ミャンマーには300あまりの日系企業が進出しています。豊富な資源、労働力から「アジア最後のフロンティア」などと言われるミャンマーに、アメリカ、中国、インドはじめ各国が関心を示す中、こうした機会を最大限に活用したい思いがあるのです。

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Q    日本としては何ができるのでしょうか。

A    投資を呼び込むのに欠かせない電力や水道、道路などのインフラ整備、技術の移転、労働力だけでなくリーダーになるような人材の育成なども期待されています。教育や保健、農業分野などで青年海外協力隊の派遣も初めて始まります。
日本は、軍事政権の間も制裁を科さず人道支援などでミャンマーとの関係を保ってきた実績があります。ビジネスや支援を通して成長を促し、民主化を後押しできることをスー・チー氏にも伝え続ける必要があるでしょう。

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