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「安保関連法反対の集団提訴へ」(ここに注目!)

橋本 淳  解説委員

先月施行された安全保障関連法に反対する市民らおよそ500人が26日、東京地方裁判所に初めての集団訴訟を起こします。
 
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Q:裁判では何が争点になるの?

A:いちばんの争点は、集団的自衛権の行使が武力行使を禁じた憲法9条に違反しないのかどうかです。去年の国会でも大きな議論になりました。憲法違反とする原告側は、集団的自衛権に基づく自衛隊の活動の差し止めなどを求める方針です。一方、訴訟を受けて立つ国側は「日本を防衛するための限定的なもので憲法の枠内」、つまり合憲という立場です。
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Q:違憲判決が出る可能性は?

A:安全保障をめぐる過去の訴訟では違憲判決が極めて少なく、それだけハードルが高いのは間違いありません。そのひとつが「統治行為論」といわれるものです。安全保障のように高度の政治性がある事柄は司法審査になじまないという考え方で、これを理由に裁判所が憲法判断を避けたケースがたびたびあったのです。ただ今回は、少し状況が違うように思います。

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Q:どういうこと?

A:統治行為論は政治への信頼があったればこそ成り立つ考え方です。日本では法律を作るにあたって、内閣法制局が憲法との整合性を厳密にチェックしてきましたが、今回これが十分に機能したのか、疑問の声があります。そして、もうひとつは元裁判官、とりわけ最高裁の長官や判事として司法の屋台骨を支えた人たちが、相次いで憲法違反とする見解を表明していることです。元最高裁判事のひとりは「責任ある法律の体をなしていない。司法をなめてはいけない」とまで述べています。最高裁のOBが法律の是非を語るのは極めて異例のこと。それほど危うさを感じているわけで、現役の裁判官に同じ考えの人がいてもおかしくありません。

Q:裁判の行方に目が離せないね。

A:安全保障関連法の集団訴訟はこのあとも全国各地で予定され、規模が拡大する見込みです。まさしく国のあり方を問う重要な訴訟で、裁判所にとっても存在意義を問われる裁判になりそうです。


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