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ここに注目! 「きょうから国連サミット〜終わらない"宿題"」

道傳 愛子  解説委員

きょう25日からニューヨークで国連サミットが始まり、貧困や飢餓の撲滅をめざす新たな目標が採択されます。道傳解説委員に聞きます。
 
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Q 終わらない宿題、とありますがどういう意味でしょうか。

A 貧困や飢餓の撲滅などの課題解決は、今年2015年までという期限つきで各国の首脳たちが努力することを約束した宿題だったのですが、締め切りが来てしまったのです。2000年のミレニアムサミットで、ミレニアム開発目標という8つの目標に合意し努力することを約束したのに、です。

Q 首脳たち、決まり悪そうな表情をしていますが、なぜ間に合わなかったのでしょうか。

A 2000年以降、金融危機やイラク戦争など、対処しなければならない課題がたくさんで支援が十分にできなかった、という説明は、先進国側の言い訳に聞こえなくもありません。間に合った宿題の中には、「世界の貧困を減らす」、がありますが、中国やインドなどの急成長に助けられたからでもあります。一方で、「妊産婦死亡率」の改善や「女の子の教育」の普及などは間に合わなかった宿題です。女性や女の子が後回しになる状況を変えるにはまだ時間がかかることを感じさせます。日本は、ひとりひとりの平和と安全に注目した人間の安全保障を外交の柱にしていますから、力を発揮できる分野です。次の宿題は「持続可能な開発目標」。目標は17、期限は2030年までの15年間です。

Q 量が増えていませんか。これまでの宿題も終わらなかったのに、大丈夫でしょうか。

A 世界がより複雑になって、課題も増えました。15年前と比べて気候変動、テロの温床ともなる格差もより深刻です。問題となっている中東やアフリカ、アジアの難民問題もそうした課題と無関係ではないでしょう。

Q どこに注目でしょうか。

A 途上国を支援するだけでなく、先進国も自分たちの足元の問題の解決を、と求めていることです。
国内や国家間の「格差の是正」やバランスのとれた「消費と生産」「気候変動」への措置などです。短期的な利益のために環境を後回しにしたり、誰かを犠牲にするような無理な成長は結局、長続きしません。持続可能な成長、つまり環境や将来の世代に負担をかけない成長でなければ、今は良くても後で自分も含め皆が困り、宿題は終わらない。このことを途上国、先進国の区別なく認識しましょう、という呼びかけでもあると感じます。
 
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