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ここに注目! 「MERS 韓国で感染拡大 国内対策は」

中村 幸司  解説委員

Q:MERSのウイルスの感染が韓国で広がり、2015年6月3日現在、30人が感染して、2人が死亡しました。日本国内の対策は十分なのか考えます。中村解説委員に聞きます。
 
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MERSは、どんな病気なのでしょうか?

A:重い肺炎などを引き起こす病気で、ウイルスに感染しておこります。
このウイルスは、2003年に流行した「SARS」と同じ仲間のウイルスです。2012年に見つかりました。
MERSは、発症すると38度以上の発熱やせきなどの症状がでます。中東を中心に、2015年5月の時点で、1100人余りが感染して、400人以上が死亡しています。
致死率は40%と高いのです。
 
Q:怖い病気ですね。でも、なぜ中東で多いのですか?

A:ウイルスは「ヒトコブラクダ」というラクダからヒトに感染するとみられています。このため、中東で多いということです。
飛沫を通じて、ヒトからヒトにも感染します。ワクチンはなく、治療法というと症状に応じた「対症療法」になります。
 
Q:韓国で感染が広がったのは、どこに問題があったのですか?

A:診断が遅れたことなどから、ウイルスが同じ病棟の患者、さらにはその患者を見舞った人などにも広がったのです。対策が不十分で、2次感染だけでなく、3次感染も起こしてしまったのです。
 
Q:韓国から日本に感染が広がることはないのでしょうか?

A:韓国では、感染者と接触した人を隔離しているということで、専門家は「日本に感染が拡大する可能性は小さい」と話しています。
中東から日本にウイルスが入ってくる可能性はあります。空港などの水際での検疫が重要になりますが、MERSは潜伏期間が、長い場合で14日ほどあるとされています。症状が出る前に日本に入ってくるということは、あり得るわけです。
 
Q:そうなると、対策はどのように進めることになるのでしょうか?
 
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A:感染者が国内に入った場合に、2次感染を防ぐことが大切になります。
韓国に限らず、病院の入院患者などに感染が広がるケースは多いのです。高齢者や糖尿病などの病気の人は、MERSが重症化しやすい傾向にあります。病院は、そうした人たちが多いですから、十分な感染対策が必要です。
患者の側も、中東などから帰国して症状が出たら、医療機関に事前に連絡して、受け入れ態勢を確認した上で診察を受けるなど、感染を拡大させないための協力をすることが重要になっています。
 

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