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ここに注目! 「オスプレイ事故の影響は?」

津屋 尚  解説委員

ここに注目です。ハワイで1人が死亡する事故が起きたアメリカ軍の輸送機オスプレイについてです。津屋解説委員にききます。
 
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合原:オスプレイは日本国内にも配備されていますから心配ですね。

津屋:そうですよね。事故機と同じ海兵隊のオスプレイは、配備されている沖縄はもちろん、訓練で本土の各地にもたびたび飛行しています。また、東京の横田基地にも空軍特殊部隊のオスプレイが再来年から配備されるという発表があったばかりです。さらに陸上自衛隊にも3年後にオスプレイが導入されることになっていて、佐賀空港への配備が検討されていますから、住民の間に安全への懸念が高まるのも当然のことです。
 
合原:オスプレイの事故はどれくらい起きているんですか?

津屋:アメリカ国防総省が去年公表したデータによると、海兵隊のオスプレイは、飛行時間10万時間に対しておよそ2件(2.12件)の重大事故を起こしています。一方、空軍のオスプレイは特殊部隊用で、より過酷な使い方をするので事故率はさらに高く、およそ7件(7.21件)となっています。この7件というのは、全てのアメリカ軍機の中で最も高い部類に入ります。
 
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合原:そう聞くとさらに心配になりますね。

津屋:新型の航空機の事故率については、「バスタブ曲線」というのがあります。バスタブの形のように、開発後しばらくは事故率が高く、改良を重ねていくことで事故はしだいに減ってゆき、しばらく安定します。そして、老朽化する頃に再び事故が起きやすくなるというものです。アメリカ軍や防衛省は、空軍のオスプレイの事故率は2年で半減していて、今後も機体の改良などによって事故は減っていくと安全を強調しています。
 
合原:そうはいっても、オスプレイはもうすでに飛んでいますよね。

津屋:そうですね。これから減っていくということはつまり、改良は“道半ば”で、最も安全なレベルにはまだ達していない、とも言えると思います。沖縄のアメリカ軍基地をめぐる問題など日本の今の政治状況を考えると、オスプレイの問題は、データがどうであれ、万一国内で重大な事故が1件でも起きたら日米同盟が損なわれかねないという危機感を日米が共有することが重要だと思います。政府はこれまで、「機体そのものの安全性に問題はない」としてきましたが、その説明が今後も説得力をもつのかどうか、まずは今回の事故原因の究明が待たれるところです。
 
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