ここに注目! 「ソチ五輪 開会式に各国は」 2014年01月28日 (火) 

二村 伸  解説委員

「ここに注目」は、ソチ・オリンピックです。開幕まであと10日に迫りましたが、その開会式には欧米各国の首脳が出席しないと相次いで表明し、華やかな平和の祭典に影を落としています。二村解説委員です。

Q1.開会式に欠席する首脳が多いのは治安への不安からでしょうか?

A.たしかに治安への不安もあります。地域情勢が不安定なうえ国内事情もあって治安が危ぶまれています。さらに出席しないと表明した背景には各国の思惑が絡んでいます。ロシア政府によれば、およそ60の国の元首や首脳が出席する見通しだということで、安倍総理大臣が出席に向けて調整中、中国も習近平国家主席が出席する予定です。ところが欧米では首脳たちが相次いで出席しないと表明しました。アメリカのオバマ大統領をはじめフランス、ドイツ、リトアニアの大統領、それにイギリスやポーランドの首相などです。そもそも開会式に各国元首や首脳が必ずしも出席するものではないのですが、プーチン大統領が威信をかけて開催する大会にあえて「行かない」と表明したことが物議を醸しました。
 
Q2.その理由は何なのでしょうか?

A.表向きは日程の都合とされていますが、ロシアへの抗議の意味が込められていると受け止められています。というのはプーチン政権が去年6月、同性愛を非伝統的な性的関係だとして、未成年者に広めるような行為を禁止する法律を成立させました。これに人権団体が強く反発し、各国にオリンピックのボイコットを呼びかけました。
 
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大会を成功させたいプーチンさんにとって思わぬ横風です。人権問題以外にも、プーチン大統領の高圧的な姿勢を快く思っていない国が少なくありません。ヨーロッパは、ウクライナなど旧ソビエト連邦の国々とEUとの関係強化をロシアが様々な圧力をかけて阻んでいると強い不満を持っています。また、アメリカは個人情報の収集活動を暴露したスノーデン元CIA職員の亡命をロシアが受け入れたことに反発し、両国の溝が深まりました。プーチン大統領は、「オリンピックは政治家の競技ではない」とけん制していますが、名声を高めたいプーチン氏と各国の複雑な対ロシア感情が透けて見えてきます。
 
Q3.二村さんはオリンピックを取材した経験もあるようですが、今回はこれまでの大会と違うのでしょうか?

A.2回取材しましたが冬の大会は夏より規模も小さく世界の注目度は低いのですが、今回は開催する側のプーチン氏と各国の思惑が激しくぶつかりあっていること、そしてテロの懸念がこれまで以上に高いこともあって注目されます。アメリカは選手団に会場以外でユニフォームを着ないよう呼びかけている他、海軍の艦船をソチに近い黒海に派遣して万一のために選手たちの救出に備えることにしています。無事開かれるか期待と不安の中、10日後に開幕しますが、選手たちには、競技以外のことに振り回されることなく日ごろ鍛えた技と力を存分に発揮してほしいと思います。
 
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