ここに注目! 「期待と不安 原発賠償の和解仲介」2012年01月10日 (火)

友井 秀和  解説委員

原発事故の被害に対する損害賠償は、順調に行かない状況のまま、年を越しました。賠償を進めるのに何が必要なのか、友井解説委員です。

Q1:原発事故の賠償は、うまく進んでいないようですね。

A1:個人の賠償では、東電が、請求のための書類を7万通余り送りましたが、賠償金が支払われたのは、1万件余りにとどまっています。
そもそも、手続きが難しい、賠償の基準に納得できないとして、請求していない人も多いのです。
東電が、誠実に賠償すべきだというのは、当然のことです。
その上で、重要な役割を果たさなければならないのが、東電との話し合いを仲介する、「原子力損害賠償紛争解決センター」という第三者機関です。
特に、この年末、注目すべき動きがありました。
原発事故で住めなくなった住宅について、賠償を求める和解案を出したのです。

Q2:それが注目されるというのは、どういうことですか。

A2:家や土地の賠償は、金額が大きく、被害者の要望が強いのに、東電は、賠償に応じていないのです。
状況を確認するのが難しいなどの理由ですが、現時点でも、可能な賠償があるはずだと批判がありました。
東電が応じていない分野について、第三者機関として賠償を求める和解案を出したことは、一歩前進だと言えるわけです。

c120110_2_.jpg

 

 

 

 

 

 

 

Q3:第三者機関としての役割なのですね。

A3:このセンターに求められることとしては、賠償の交渉が、東電主導で進むのを防ぐ、ということが挙げられます。
大企業相手の交渉は簡単ではありません。
センターでは、専門の弁護士が仲介にあたり、解決策を探りますので、一方的な交渉は避けられます。
センターが、被害者にとって必要な賠償を引き出していければ、賠償の水準が上がると期待されるところです。

Q4:賠償は急がなければなりませんよね。

A4:東電の対応について不信感があるなかで、紛争解決センターには期待があるという状況です。
ただ、去年のうちに和解が成立したのは2件にとどまっていて、今年、第三者機関として真価が問われます。
損害賠償が満足に行われないのでは、生活の立て直しが難しくなります。
被害者の生活を支える賠償を加速させる必要性は強まっています。

c120110_3_.jpg