スタジオパーク 「自転車事故の総合対策 強化へ」2011年10月25日 (火)

渥美 哲  解説委員

(キャスター)自転車が関連する事故が多発していることなどを受けて、警察庁はきょう、全国の警察本部に、自転車利用者の違反に対する指導・取締りを強めるなど、自転車についての総合対策をすすめるよう指示しました。渥美哲解説委員に聞きます。

Q1:自転車の対策が強化されるということですが、その背景はどんなことですか?

A1:自転車の利用者に基本的な交通ルールが徹底されていないこと、そして自転車の事故が多発していることなどが背景にあります。
まず、自転車の事故についてみてみます。
去年、全国で起きた自転車が関連した交通事故は、およそ15万1600件。交通事故全体の20%を占めています。
とくに注目されるのが、自転車乗車中に事故で死傷した人の65%に、何らかの法令違反があったということです。
事故が多発している背景に、交通ルールが守られていないことがあるわけです。

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Q2:自転車の利用者に基本的な交通ルールが徹底されていない、ということですが、そのルールとはどのようなものですか?

A2:道路交通法の規定をこちらにまとめました。
まず、自転車は「車両」であるということ。自動車と同じように、車道を通行するのが原則になっています。歩道を通行できるのは例外として認められている場合で、歩道通行のときも、徐行してゆっくり走るなど、「歩行者優先」が基本になっています。

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Q3:「例外として認められている場合」というのはどういう場合ですか?

A3:三つ、定められています。
一つは、「自転車歩道通行可」を示す標識か標示のある区間、歩道を通行してもいいと認められた区間です。
元々、昭和35年に道路交通法が制定されたときは、自転車は車道しか走れなかったのですが、道路上の自転車事故が多発したことを受けて昭和45年に法改正が行われ、このような区間では例外的に歩道を通行することが認められるようになりました。自転車が歩道を通行できるようになったことで、「どんなところでもいい」という誤解につながっていると指摘されてきました。このため、ようやく4年前の法改正で、自転車が歩道を通行してもいい場合が明確化されました。
それまでの規定に加えて、「13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者など」、そして「自転車通行の安全を確保するためにやむを得ない場合」、つまり自動車の交通量が多くて車道を自転車が走ると危険な道路では、自転車が歩道を通行してもいいことになりました。

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しかし、この基本ルールについては、原則通りに自転車の利用者が車道を走ろうとしても難しいところが多くあり、自転車が通行する環境が十分整備されていないという課題があります。

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さらに、先程のように、こうした交通ルールが自転車の利用者に徹底されておらず、違反が後を絶たないという課題があるのです。

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Q4:その課題、詳しくはどんなことなんでしょうか?

A4:ほかの交通ルールについて、こちらでみてみます。
これは、自転車の主な交通ルールです。
「自転車は車道の左側を通行する」、「酒を飲んでの運転は禁止」、「夜間はライトを点灯する」などです。
これらの自転車のルールについて、警察庁が先月から今月にかけて、運転免許試験場でおよそ1300人を対象に行ったアンケート調査で、「知らなかった」と答えた人や、「守っていない」と答えた人が多くいました。
たとえば、この「交差点では一時停止と安全確認をする」については、10%の人が「知らなかった」と答え、「知っているが守らないこともある」、または「あまり守らない」と答えた人があわせて26%いました。

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こうした、現状や課題がある中で、警察庁が、きょう全国の警察本部に対して、自転車の総合対策を進めるよう指示したのです。

Q5:その対策、どのような内容ですか?

A5:こちらにまとめました。
柱が三つあります。
一つは、自転車の交通ルールの周知や安全教育をすすめることです。
交通ルールを守らない人が多いことを受けて、違反者には罰則があることや、事故の加害者になったときには、刑事責任を負ったり損害賠償を請求されたりするなど、代償が大きいことなどについて、周知を徹底することにしています。

そして、自転車利用者の違反に対する指導と取締りを強化します。
とくに、さきほどのルールにあった飲酒運転の禁止や、「ピスト」と呼ばれる競技用の自転車をブレーキがない状態で運転するなど、悪質で危険性の高い違反については取締りを強め、いわゆる交通切符を切るなどして積極的に検挙していくとしています。

さらに、自転車の通行環境の整備を地方公共団体などの道路管理者と連携して進めることにしています。
具体的には、「自転車専用通行帯」、車道の左側に自転車専用のレーンを設けるもので、このような標識や標示があります。この設置を進めることなど、自転車が車道を走りやすくするための措置をとっていくとしています。
また、「自転車が歩道を走ってもいい」としている区間について、歩道の幅が狭く、車の通行が少ないところなどで見直しを行い、自転車と歩行者の分離を進めていくとしています。

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Q6:こうした対策、課題はどんな点ですか?

A6:まず、この「自転車専用通行帯」についてですが、現状では全国にまだあわせて231キロ分しかなく、対策が遅れてきました。
しかし、車道の幅がゆったりとられていて、左側に線を引くだけで自転車専用レーンを作れるところが数多くあるという専門家の指摘もあります。
警察庁でも、車が通行する車線を減らしたり、一方通行にしたりして、自転車専用レーンを増やす取り組みを進めたいとしています。
自転車が安全に通行できる環境の整備を急いでほしいと思います。

また、「指導・取締り」についてですが、自転車の利用者からは、「車道を走れ」と言われても難しいという声が数多く聞かれます。車道を走ろうと思っても、たとえば道路の左側に違法駐車の車がいて危なくて走れないといった現状があります。
警察は、自転車の利用者に対してだけでなく、こうした違反などについても、取締りや対策をしっかり進めるべきだと思います。

さらに、安全教育についても、これまで、学校での自転車についての教育や、運転免許講習での指導などが十分行われてきませんでした。
こうした様々な面で、自転車についての遅れている対策を、着実に実行していってほしいと思います。

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自転車を利用する人は、健康志向の高まりなどから増えていましたが、東日本大震災のあと、公共交通が混乱したことなどを受けて、通勤などに使う人がさらに増えています。
自転車についての対策の充実と強化が求められています。