スタジオパーク 「更新料「有効」判決の影響は」2011年07月20日 (水)

今井 純子  解説委員

マンションの賃貸契約を更新する際に「更新料」を支払う契約が違法かどうかが争われていた裁判で、先週、最高裁判所は、原則、更新料は有効だという判断を示しました。今井解説委員。

Q1)そもそも、何が問題になっていたのですか?

A1)この更新料。マンションやアパートの賃貸契約を更新するたびに、借り手が家主に払うものです。首都圏や京都などで長く続いてきた慣習で、今回争われていた3件ケースでは、
このように、1年、あるいは2年の契約更新のたびに、家賃の2カ月分程度の更新料を払うという契約になっていました。例えば、家賃4万5000円のこのケースでは、家賃のほかに、毎年10万円の更新料を払う契約でした。
これについて、借り手側は、「今の制度では、原則、家主の方から更新を拒否することはできない。更新料を払う根拠はなく、無効だ」と訴えていました。
一方、家主側は、「更新料は、家賃の一部で、その分、毎月の家賃は安くしている。契約書に金額も明示してあり、それを承知で契約しているので、有効だ」と主張していました。

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Q2)最高裁は、有効との判断したのですね。

A2)はい。最高裁は、更新料について、「家賃の前払いや、契約を継続するための対価といった、複合的な意味がある」と定義付けました。そのうえで、「契約書に明記され、当事者が合意している場合、高すぎなければ有効だ」として、今回のケースについては、いずれも有効という判断を示しました。

Q3)今後、どういう影響が考えられるのでしょうか?

A3)今、更新料をとっている賃貸住宅は100万戸を超えると言われていますが、今回の判決を受けて、今後、更新料をとる動きが広がるのではないか。また、今回有効と認められた、2カ月分まで更新料を引き上げる動きがでるのではないかと、借り手側の弁護団は心配しています。確かに、そういう心配はないとは言えません。ただ、一方で、法的な解釈とは別に、賃料の在り方を見直そうという動きも、家主側からでています。

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Q4)なぜですか?

A4)一連の裁判を通じて、マンションなどの賃貸契約の中身が、いかに、わかりにくいものか、改めて注目され、批判の声が高まっているからです。
こちらにあるように、契約書をみると、家賃や更新料の他に、礼金や敷金、共益費、さらにハウスクリーニング代など、様々な項目が並んでいます。金額も、例えば、更新料を1か月分とる地域もあれば、2か月分をとる地域もあるといったように、バラバラです。
なぜ、これほど複雑かというと、それぞれの地域の長年の慣習ということに加えて、家主側の事情もあるといいます。というのも、最近は、賃貸住宅は余っていて、借り手を引き付けるためには、インターネット対応やオール電化といった、設備を充実させる必要がある。一方、一番目立つ「家賃」はできるだけ安く抑えたいということで、他でおカネをとらざるをえない面があるというのです。
ですが、借り手にとってみると、これでは、最終的にいくら払うことになるのか。他の物件と比べて、果たして安いのか高いのか、わからない。結果的に、後から高額の支払いを請求され、もめて裁判になるケースが、更新料のほか、礼金や他の項目でも、でてきています。このため、家主側から見ても、トラブルは避けたいということで、見直しの動きがでてきているのです。

Q5)どのような動きがあるのか?

A5)インターネットで賃貸住宅の情報を探すと、礼金や更新料をなくして、それを売り物にする物件もでてきています。また、賃貸住宅の管理会社でつくる団体は、去年の秋から、「めやす賃料」を表示するよう、会員の会社に呼び掛けています。家賃だけでなく、更新料や礼金などをあわせた場合、一か月あたりいくらになるか、全国同じ尺度で比較できるようにしようという考え方です。こうした動きはいいことだと思います。
長年の慣習だからということでなく、合理的な説明がつく、わかりやすい賃貸契約に変えていくことは、借り手だけでなく、家主側にとっても、今後、借り手を引きつける上でメリットがあると思います。ぜひ、こうした動きが広がってほしいと思います。

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Q6)一方、今の時点で、借りる側は何に気をつけたらいいか?

A6)やはり、契約書にサインする前に、家賃だけでなく、更新料や敷金など、それぞれの項目について、なぜこの金額か、根拠は何か、退去する時に戻ってくるのかなど、納得がいくまで説明を受けることが大事です。敷金やハウスクリーニング代をめぐるトラブルも多いので、あらかじめ、部屋を退去するときのことまで考えて、どういう汚れの場合、どちらが負担するのか、具体的に細かく確認しておくことも大事です。
そして、納得ができなければ契約しない。さきほども触れたように、今、賃貸の物件は余っています。納得できなければ、別の物件を探すくらいの気持ちが大切ではないかと思います。

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