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スタジオパーク 「学力の国際順位は上がったが」2010年12月08日 (水)
早川 信夫 解説委員
(近田キャスター)
世界65の国と地域が参加して行なわれたOECD・経済協力開発機構による国際学力調査の結果がきのう発表になり、日本の高校1年生は、3年前の調査に比べ順位が上がったことがわかりました。調査結果について早川信夫解説委員に聞きます。
Q1.日本の成績は上がったのですね?
A1.確かにそうですが、課題はまだある。順位が上がったと言って喜んではいられないといったところです。
今回2009年の成績はこちらです。
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日本の順位は、読解力が前回3年前の15位から8位へ、数学力が10位から9位へ、科学力が6位から5位へと上がりました。得点も上昇しました。これまで低下傾向にあった成績がようやく上がったことになります。
一方、世界的な順位をみますと、初参加の中国・上海が3つの分野でトップに立ったのが大きな特徴です。続いて、常連となっているフィンランドと韓国などの東アジア勢の活躍が目立っています。
Q2.上海がすべての分野でトップなのはどうしてなのでしょうか?
A2.中国の中でもっとも教育に力を入れている地域だと指摘されています。OECDの担当者は「大学入試改革にあわせて学校での授業内容を知識重視型ではなく得られた知識を生かしてものごとを考えさせるよう改めた成果ではないか」と分析しています。ただ、今回の調査は学校を通じて行っていますので、日本やフィンランドなど就学率が100%に近い国と違って、上海の場合は学校に通っていないこどもの割合が10%と突出して高く、この層が対象外になっている分、成績全体がよく見えるのかもしれません。
Q3.一方、日本の成績はどうみたらよいのでしょうか?
A3.文部科学省は「3年前から全国学力テストを実施するなど学力向上に取り組んだ成果だ」としています。しかし、OECDは「低下に歯止めがかかったかどうかは、今後の推移を見ないと何とも言えない」と慎重な見方です。読解力は、第1回の2000年調査と順位、得点ともほぼ同じ水準といった程度で、手放しで喜ぶわけにはいきません。
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Q4.どんな課題があるのでしょうか?
A4.1つは、依然として多い学力の低いこどもたち。2つめは、考えて書くのは苦手。
まずは、低学力の問題。調査では読解力のレベルを得点によって6段階に分けています。第1回の2000年調査と比較しますと、成績がもっともよいレベル5と6、もっとも低いレベル1のこどもたちがそれぞれ増えています。学力低下対策として取り組んできたことが、学力上位層を引き上げはしたかもしれないけれど、低学力層を引き上げるところまでは至っていないことがわかります。日本の場合、平均的に成績のよいことが強みでしたが、それが崩れていることを示しています。学力の低いこどもたちの学びをどう支えるのか考える必要があります。
Q5.もう1つの考えて書くのは苦手というのはどういうことなのでしょうか?
A5.OECDは「日本のこどもたちは書いてある文章の中から情報をとりだす力は優れているものの意味を理解したり考えて判断したりするのは苦手だ」と分析しています。3年後も同じ問題を出題するため問題の公表は一部に限られていますが、たとえば、ハンガリーの作家が書いた「芝居は最高」という戯曲の一部を読んで、3人の登場人物のうちの最も若い人の心境を自由に記述しなさいというこちらの問い。
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ほかの設問で高い正答率を示していた日本のこどもたち、ここでは低い成績です。無解答の割合に至っては29%と高く、この傾向は自由記述の設問全般にみられます。結論がパッとわかればサラサラと答が書けるけれど、習ったことを総動員してあれこれ考えなければならないと引いてしまう。そんな傾向が課題となっています。
Q6.今後の対応としてどんなことが考えられますか?
A6.まず一つは、教育環境の整備です。先生たちが多忙になって、生徒たちに向き合う時間が少なくなっていると指摘されています。今回の調査で「助けが必要なとき、先生が助けてくれる」と答えた生徒の割合は64%、ギリシアに次いで下から2番目です。国内では、先生の数を増やして少人数学級にすることが検討されていますが、先生が生徒に向き合える環境をつくることが差し迫った対応策と言えます。
もう一つは、知識重視からの脱却。知識をつけることは大事だけれど、教え込むだけでは限界がある。このことを改めて認識する必要があります。この調査の2回目で日本の成績が下がったとき、当時の文部科学大臣が「詰め込み教育に戻すべきだ」と主張し、にわかに知識注入型の教育に戻ったいきさつがあります。表面的には、そうした教育によって得点が下げ止まったようにみえますが、その一方で、知識注入だけでは限界があることもみえてきました。知識をつけた先に自分で考えて判断するという学習を考える必要があります。今回トップに立った上海は大学入試から改革したことが評価されています。日本も知識重視の大学入試から変えていく必要があります。その意味では、問われているのは、こどもではなく、大人の知恵と行動だと言えます。
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