2010年09月28日 (火)スタジオパーク 「牛肉 変わるおいしさの基準」
農林水産省は家畜の改良目標を見直し、このうち肉牛についてはこれまでの霜降り重視から多様な牛肉作りを目指すことになりました。合瀬宏毅(おおせひろき)解説委員です。
Q.家畜の改良目標とはなんですか?
A.日本の牛肉や豚肉、世界的に高い品質で知られているが、もともとそうした形質を持っていたわけではありません。国の研究機関などが品種改良に取り組み、精液などを農家に配布するなどして全体の形質を変えてきた。その改良の方向性を示すのが、国の家畜改良目標。
今回その中で、和牛の肉質の改良方向を見直した。
Q.和牛と言えば霜降りですよね?
A.そうですね。和牛の改良、かつては一頭から沢山肉がとれるように、体型や成長のスピードを中心に行われてきました。ところが平成3年に牛肉の自由化が行われてからは、輸入牛肉と差異化するために、特に「サシ」と呼ばれる脂肪交雑が沢山はいるようにしてきた。
サシが細かく入った肉は軟らかく、和牛独特の甘みがあるとして人気が高い。
そこで和牛同士を掛け合わせてサシが多く入るような品種改良を進めると共に、産地もエサを工夫したりしてきた。
その結果、牛肉の中に占める脂肪の割合は平均36%と大幅に上昇した。肉に脂肪が大理石の模様のようにきめ細かく入る和牛は芸術品とも言われてきた。
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Q.その霜降り志向をどうして見直すのですか?
A.消費者の中には、どうも脂が多くていやだ。健康志向もあって赤身とのバランスのとれた肉を食べたいという人が多くなってきた。しかも現在の和牛にはすでに十分脂肪交雑が入り、これ以上増やすとかえって肉本来のおいしさが無くなってくると考えられている。
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これは日本食肉消費総合センターが「牛肉を買うときに何を見て買うか」を調べたもの。これによると、肉の色や肉汁の多さを重視する人が多く、霜降りと答えた人は6%しかいなかった。
こうしたこともあって、今回農林水産省は今後の改良方向を霜降り中心から、新たなおいしさを求めていくと共に、地域の条件を生かした特長ある牛肉生産に取り組めるような改良を進めるとしている。
Q.どういう美味しさを目指すのか?
A.まずは和牛の美味しさがどういうものなのか、それを突き止めなければならない。
一般に人が美味しさを感じる時の要素は、食感、味、香りだと言われている。
和牛の場合、筋肉を柔らかい脂肪が覆って、口溶けの良い柔らかい食感に繋がっている。
また、味を決定づけるうまみは赤身の部分が関わり、さらに香りはモモやココナッツに含まれる物質が脂肪に含まれ、これが和牛独特の香りを作っていると、言われている。
このように牛肉の美味しさは多種多様な物質によって構成されているのだが、研究班が注目しているのはオレイン酸などの不飽和脂肪酸。
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Q.どういうものなのか?
A.脂肪には、常温では固まっている飽和脂肪酸と、そうでない不飽和脂肪酸などいくつかの種類がある。
調査チームが様々な牛肉を食べ分けて実験した結果、不飽和脂肪酸は低い温度でも溶けるため、これが牛肉の滑らかさを生み出し、しかも味や香りなどの風味と相関関係がありそうだという結果を導き出した。外国でもオレイン酸が味や香りの良さと比較的相関が高いなどの研究が次々と発表されている。
ただ、これは牛肉の美味しさの一面で、まだ良く分かっていない。しかも消費者の好みは様々であり、一つの目標だけだと全国の和牛の味が同じになってかえって味気なくなってしまう。そこで農水省も各地での様々な牛肉作りを支援することにした。
Q.どういうところがあるのか?
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A.たとえば、岩手の短角牛。岩家県内の山に放牧し、そこに生える牧草を主に食べさせて育てた牛で、赤身主体のヘルシーな肉を目指している。熊本県阿蘇の赤牛も同じように草原に放牧してあっさりとした牛肉を目指している。
また宮崎ではローズマリーなどのハーブを与えて育てたハーブ牛を生産しており、ビタミンEを多く含むヘルシーな肉として人気。
長野県では従来の脂肪交雑に加えて、オレイン酸を一定割合含んだ牛肉を「信州プレミアム牛肉」として県内のスーパーやレストランを中心に販売しています。
Q.こうしてみると様々な取り組みが進んでいますね?
A.これまで高級和牛は様々あったが、どれも脂肪の多さを売り物にして個性に乏しかった。牛肉の美味しさがさらに解明され、値段も含めて様々な美味しい牛肉が出てくるのであれば消費者としても楽しみですね。
投稿者:合瀬 宏毅 | 投稿時間:14:46
