2009年09月18日 (金)スタジオパーク 「エコナ 販売自粛」
(稲塚キャスター)
特定保健用食品の食用油「エコナ」に、発がん物質を生成する可能性のある成分が検出されたことがわかり、大手日用品メーカーの花王は、商品の販売を自粛し、出荷を停止しました。合瀬宏毅(おおせひろき)解説委員です。
Q.特定保健用食品と言えば健康にいいものですよね?
そうですね。エコナと言えば体に油が付きにくい食用油として、厚生労働省が1999年に特定保健用食品としてその効果に国がお墨付きを与えた商品。
健康ブームの中で食用油のトップブランドとなり、食用油としてだけでなく、この油をつかってドレッシングやマヨネーズなど様々な食品が開発されていた。こうした関連商品の販売額は年間200億円に上っていた。
Q.販売が自粛されるのはどんな商品か?
まずエコナクッキングオイルや、エコナ炒め油、エコナ揚げ油などの食用油。
それにエコナドレッシングソースやマヨネーズ。
さらに業務用のクッキングオイルやドッグフードなど合わせて12種類にわたる。
花王ではおとといから、こうした商品について全国の販売店に販売自粛を要請すると共に、出荷も停止している
Q.なぜこうした問題になったのか?
今回問題とされているのは、「グリシドール脂肪酸エステル」という成分。食用油の中にきわめて微量含まれている成分で、人の中で消化されると、発がん性物質「グリシドール」に変わる可能性がある。
ヨーロッパでは去年から、「グリシドール脂肪酸エステル」に注目があつまり、今年3月にはドイツの研究所が乳幼児などへの使用について注意を促していた。
こうした状況を受けて、厚生労働省が花王に調査を依頼したところ、エコナにこの「グリシドール脂肪酸エステル」が一般の食用油の10倍から180倍入っていることがわかった。
Q.なぜそんなに入っているのか?
そもそも食用油は原料を絞った時に独特の臭いが残るため、脱臭を行う。この脱臭の過程で、不純物として生成されると花王は説明している。
ただ花王としては、「グリシドール脂肪酸エステル」と「グリシドール」とは別物で、どうやってどのくらい変化するのか良く分かっていない。エコナ全体の安全性に問題はなく、今回の販売自粛はあくまでも、脱臭方法を改善するための一定期間だけ。不安に思っている人たちのために行うものだという立場です。
Q.とは言っても不安ですよね?
そうですね。花王では安全面では問題がないので回収は行わないとしています。ところが、問題がないなら販売自粛は不安を与えるだけですし、問題があるのなら回収までキチンとすべき。予防的措置だとは思うが、消費者にはきわめて分かりづらい。長年使っていたり、すでに手元にある人はどうすればいいのかキチンと対応してもらいたいと思う。
さらに問題なのは行政の対応だと思います。他の食用油にも含まれているのなら、キチンと調べるべきだし、なにより食品安全委員会ではエコナを巡って6年前からその安全性を議論していた。
特保として認可されているものの、発がん性を促進するかもしれないという懸念があるとして厚生労働省が、安全性の評価を求めていた。![]()
Q.結果は出ていないのか?
議論がまとまっていない。発がん実験において遺伝子を組み換えたラットの雄で、舌にがんが増加していたことが見つかったが、その解釈を巡って委員のなかで議論が分かれている。安全であると結論できないとする意見と、それでも安全性は確保されているとする意見との隔たりが大きく、まとめられない状態が続いている。
議論が続いている間も対象になっている商品は販売が続いていた。科学的に結論がでないのなら、両論併記などにして消費者庁に判断をまかせるべきだ。
Q.消費者としては放置されている気分ですよね?
そうなんです。こうした動きに、消費者団体も消費者庁など行政に対し
1.エコナの特保を取り消して、最悪のケースを前提にした対応
2.10年間にわたって商品が販売されてきたことから消費者の健康調査の実施、
それに
3.問題が放置されてきた原因の解明などを求めている。
特保については、法律によって認可した後でも新たな科学的知見が見つかった場合、認可を取り消すことになっている。それにしても必要なのは食品安全委員会の結論。
Q.この問題をどう考えればよいのか?
食品は毎日とるものですから、微量の有害物質でも、長期間摂取することで健康に重大な被害を及ぼしかねない。しかも特定保健用食品は、国がお墨付きをあたえたものですから、特に安全性に対する厳密さが必要。
そして問題が見つかったらすぐ流通を止めて、キチンと説明をする。そうした消費者の気持ちによりそった行政のあり方が求められていると思う。
投稿者:合瀬 宏毅 | 投稿時間:15:09
