2008年12月26日 (金)スタジオパーク 「値下げ時代 再び到来?」
きょう発表された11月の消費者物価指数は、上昇幅が大幅に縮小し、物価の上昇に歯止めがかかりつつあることを示しました。物価は、今後、再び下がるのでしょうか?今井解説委員。
Q1)夏のころは、どこまで上がるのかと思っていた物価高。ようやく歯止めがかかったようですね。
▼食料品の価格は、4.4%の値上がりと、高止まりしているのですが、
▼ガソリンの価格が、マイナス10.7%と、1年2ヶ月ぶりに、前の年よりより安くなったのです。それで、全体の物価上昇を和らげている形です。
つまり、原油の国際価格が、最も高かった今年7月の時点と比べると、今、4分の1近くまで値下がりしている。その恩恵が、本格的に小売価格に反映されてきた形です。

Q2)なぜ、食料品は高止まりしているのか?
A2)実は、穀物の国際価格も下がっています。例えば、小麦ですが、このように、もっとも高い時と比べて半分以下になっています。ただ、ガソリンの場合、国際価格の動きが、比較的、速やかに国内の小売価格に反映される仕組みですが、穀物の場合、輸入されて、麺類やパン、お菓子などに転嫁されるまでに、数ヶ月単位の時間がかかるのです。例えば、輸入小麦は、政府が食品メーカーなどに売り渡す方式がとられていますが、その時期は、毎年、4月と10月の二回です。そのため、値下げの恩恵が食卓に本格的に表れるのは、来年4月以降ということになります。
Q3)年明け以降は、順次、値下げが期待できる?
A3)それが、まだこれから値上げというものもあるのです。ですから、当面は、値上げと値下げ、両方の動きが入り交じる形になります。
まず、値上げですが、1月から電気料金と大手都市ガスの料金が、大幅な値上げとなります。
▼例えば、東京電力は標準的な家庭の場合、ひと月、409円、沖縄電力では567円の値上げです。
▼都市ガスも、東京ガスは、ひと月、253円、大阪ガスは248円の値上げです。
電気もガスも、来年1月から3月までの料金は、最も原油が高かった、今年7から9月の輸入価格が反映される仕組みになっているためです。ただ、これも、4月以降は、値下げに転じる見通しです。
▼また、当面の値上げで言うと、牛乳やバターなどの乳製品も、3月から値上がりする見通しです。
Q4)値下げになるものは?
A4)まず、1月からは、国際線の運賃です。燃料代に応じて加算している特別運賃が安くなるためで、例えば、アメリカやヨーロッパ向けの場合、往復で今より2万2千円の値下げです。ガソリンや灯油もさらに値下がりする見通しです。
また、円高も値下げを後押しします。海外の高級ブランドや輸入家具が、相次いで値下げされているほか、ファミリーレストランなどでも「円高還元セール」を実施する動きがあります。
今後は、資源価格の値下がりを受けて、自動車など幅広い製品に値下げの動きが広がることが期待されています。先ほど言ったように、電気・ガスも春からは値下げですし、こうした結果、消費者物価は、年明けには、ゼロ近辺になり、春ごろには、マイナスになる。つまり、再び「値下げの時代」が訪れるという見方が強まっています。
Q5)家計にとっては、ありがたいですね。
A5)そうですね。日本総合研究所の試算では、来年一年間の平均では、物価は1.0%下がり、その結果、サラリーマン世帯の場合、一世帯あたりの負担は一ヶ月4072円。年間では、4万8864円減るとしています。年金暮らしの世帯では、1か月2613円。年間では、3万1356円の負担減です。ボーナスが減っていますし、賃上げも期待できない。雇用への不安も高まっている。家計が非常に厳しい中、値下げの動きは、正直、ありがたいですね。ただ、いいことばかりでもないのです。
Q6)なぜ?
A6)例えば、薄型テレビやデジタルカメラなども値下がりしていますし、大手スーパーなどでも、独自に食品や日用品の値下げに踏み切る動きが広がっています。ですが、これは、景気の悪化で、消費者がモノを買わない。だから、値下げして、なんとか買ってもらおうという面もあるのです。消費者にとっては、それでもありがたいのですが、経済全体で見ますと、こうした値下げは、原材料費の値下げや効率化によるものではないため、企業の業績の悪化につながります。結果的に、さらに雇用や賃金の抑制につながるという、デフレの悪循環に陥る懸念もあるのです。
ただ、そうは言っても、家計は厳しいですので、少なくとも、円高や原材料費の値下がりの分は、高止まりしている食料品を含め、ぜひ、消費者に還元してほしいと思います。
投稿者:今井 純子 | 投稿時間:14:32
