2008年12月24日 (水)スタジオパーク 「地震でけがをしない 火をださないために」

《稲塚キャスター前説》
 今年の6月に起きた岩手・宮城内陸地震では、激しく揺れている最中に火を消していた人がいたことが被災地の調査でわかりました。火を消すのは大切ですが、場合によっては大きなけがに結びつきかねません。今日は、地震でけがをしないために、火災を起こさないためにどうしたらいいかです。

 どんな調査ですか?

 

                         

《山﨑解説委員》
 岩手・宮城内陸地震の被災者、およそ1500人に東京消防庁が地震の時にどんな行動をとったか、アンケート調査を行い、その結果が最近まとまりました。
それによると、地震が起きた時に火を使っていた世帯のうち半数を超える68%が、「揺れを感じた時」あるいは「揺れている最中」に火を消す行動をとっていました。

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 幸いにも、今回の調査対象では、そのことがきっかけでけがなどをした人はいませんでしたが、去年の新潟県中越沖地震では、揺れている時に火を消す行動をとったことで、ガスコンロにかかったヤカンのお湯や鍋がひっくり返ってやけどをした人がいました。
そこで、消防は、地震の時には、まずは身の安全を確保して欲しいという呼びかけを強めています。

《稲塚》そうすると、火はいつ消せばいいのですか?

《山﨑》
火を消すタイミングは3回あるといわれています。
 一回目は、たまたま火の近くにいて小さな揺れを感じた時です。
たまたま台所で火を使っていたり、仏壇のローソクを灯したりしているときに、小さな揺れを感じて、余裕があったら火を消して下さい。

2回目のタイミングは、大きな揺れがおさまった時です。揺れている最中に、大慌てで火に近づくのではなく、揺れがおさまったのを確認してから落ち着いて消火してください。

3回目は火が出た時です。どんなに大きな火災も、最初は小さな出火から始まります。火がついたからといって驚かず、消火器などを使って小さな出火のうちに消し止めるのが3回目のタイミングです。

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《稲塚》
いまでも、「地震がきたらまず火の始末をする」と考えている人が多いと思いますが?

《山﨑》
それもそのはずで、『地震の時には、まず火の始末』という呼びかけを、消防機関は30年以上続けてきました。したがって、年配の人ほど、地震が起きたら、まず火を消すと思っている人が多いと思います。
地震が起きた時の行動について書かれた東京消防庁のパンフレットをみると、平成6年頃までは「グラッときたら火の始末」になっています。
ところが、最近それが変わりはじめています。最近のパンフレットは「グラッときたら身の安全」が一番で、その後に「落ち着いて、火の元確認 初期消火」となっています。

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《稲塚》
どうして、優先順位が変わったのですか?


《山﨑》
 地震の際に、何に重点に行動をすべきかは、地震の被害の歴史や技術の進歩と密接な関係があります。
今から85年前の大正12年の関東大震災では、10万人以上の犠牲者がでましたが、その90%近くが焼死者だったとみられています。地震の発生が午前11時58分頃と昼時で、多くの家庭で火を使っていたことに加え、日本海にあった台風の影響で関東地方に、風速15メートルほどの強い南風が吹いていて、当時の東京市の広い範囲が焼けました。多くの人に地震後の火災の怖さを強く印象づけました。
また、昭和43年の十勝沖地震でも、青森県や岩手県などで、石油ストーブの転倒や石油コンロなどが原因で多くの火災が発生しました。
こうした災害を受けて、消防は、地震の際には『まず火の始末』という呼びかけを強めました。
この流れが変わり始めたきっかけは、13年前の阪神・淡路大震災でした。阪神・淡路大震災では、当日だけで5000人以上の人が亡くなりましたが、ほとんどの人が住宅など建物の下敷きになって亡くなりました。そこで、地震の時には、まず身の安全を確保することが最も大切だと考えられるようになったのです。

《稲塚》技術の進歩というのはなんですか?

《山﨑》
暖房器具やコンロの防災の技術が進んだことです。
石油ストーブは地震の揺れを感じたら、自動的に火が消える「対震自動消火装置」の設置が義務付けられてから30年以上が経ちました。現在使われている石油ストーブのほとんどに装置がついているとみられます。
また、都市ガスやプロパンガスは震度5強程度の揺れを感知すると、自動的に供給を止める装置であるマイコンメーターの普及率が全国で99%に達しています。

《稲塚》
そうすると、地震による火災の心配は少なくなったのでしょうか?

《山﨑》
そんなことはありません。今でも、地震後の2次災害で最も怖いのは火災で
す。阪神・淡路大震災でも、地震後の火災で神戸市など凡そ70haが焼けました。
どんな小さな火種でも、その一つからら燃え広がって大きな都市火災になる恐れがあります。地震のときにはまず身の安全を確保し、その後に落ち着いて火を消すということを覚えておいてほしいと思います。

投稿者:山﨑 登 | 投稿時間:14:25

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