スタジオパーク 「新"人口推計"の意味合い」2012年02月03日 (金)

藤野 優子  解説委員

国立社会保障・人口問題研究所は今週、50年後の日本の人口推計をまとめました。この推計の意味合いと、超高齢化社会に向けた課題について藤野優子解説委員に聞きます。

Q1 急速に人口減少と高齢化が進むんですね。

A そう。今後50年で、日本の人口は3分の2になり、そのうち65歳以上の高齢者の割合が4割と、世界でも例をみない超高齢化社会に日本は突入していく。社会保障の支え手や経済の担い手が急速に減少し、これから社会の安定や経済活動をどうやって維持していくか、難しい課題に直面することになる。
 
Q2 でも、50年後といわれても、自分はどうなっているかわからないし、もう関係ないかもと思ってしまうが。

A そう考える人はいるかもしれないが、いきなりかわるわけではなく、10年後、20年後も今よりもっと少子高齢化は進んでいく。
また、今テレビをご覧の皆さんのお子さんやお孫さんが働き盛りの頃に、まさに重い負担を担う当時者となる。ですから、今から、あらゆる対策を総動員して、この超高齢化社会をどう乗り越えていくのか、知恵を絞らなければならない。
 
Q3 具体的に、新しい人口推計の中身を説明してほしい

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A まず、総人口。今は1億2800万人あまり。これが50年後の2060年には8600万人あまりに減ると予測されている。
そして、人口構成。
今は、65歳以上の高齢者の割合が23%、働く世代が64%、14歳以下が13%。
これが2060年になると、高齢者が40%、働く世代が51%、子どもが9%となる。
今は、およそ3人の現役世代で1人の高齢者を支える「騎馬戦型」だが、
2060年には、ほぼ1人で1人を支える「肩車型」になる。
 
Q4 どうしてこんな状況にまでなるのか

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A それは、まず、平均寿命がさらに伸びると予測されていること。
今の平均寿命は、男性、女性、このようになっているが、予防医学の充実などで、
2060年には男性が84.19歳、女性が90.93歳になるとされている。  

一方、一人の女性が一生涯に産む平均の子供の数を示す「合計特殊出生率」も、2010年には1.39だったが、2060年は1.35とほぼ横ばい。少子化の状況は今後も変わらないと見られている。
 
Q5 大変厳しい時代に入るが、これからの社会はどうなっていくのか?

A 社会保障の支え手や経済の担い手は急速に減っていくので、社会保障は給付カットと負担増の連続になると思う。もはや、従来の社会保障の考え方や社会の在り方を大きく転換していかざるを得ない。

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まず、これからは、高齢者であっても働ける人は働いて、支える側に回ってもらわないといけなくなると思うし、所得の多い高齢者は年金などの給付を少し我慢してもらって、全ての世代で、所得が多い人が、所得の少ない人を支えるという制度に変えていく必要がある。
 また、高齢者が増えていくので、病院や施設を中心とした医療・介護では限界がある。一人暮らしでも、住みなれた地域で長く暮らせるように、在宅での医療・介護の体制を厚くすることも不可欠。
さらに、人口減少と同時に、都市への人口集中も進むと思われるので、多くの自治体が、人口の流出を防ぐ対策に迫られると思うし、自治体の広域化も求められる。
ありとあらゆる対策が必要になるが、中でも、最も重要なのは少子化対策で、出生率を改善して、高齢化のスピードを少しでも遅らせていくことが肝心になる。
 
Q6 でも、少子化対策はなかなかうまくいかないが

A 確かにそう。このデータをみてほしい。

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今回の推計で、1995年生まれ(今年17歳)の女性のうち、生涯未婚の人の割合は20%と今と比べると倍増すると予測されている。また、子どもを産まない人は3人の1人。
結婚・出産の問題は、個人の選択の問題だが、将来不安や経済的な理由で、結婚しない人も多いと見られている。こういう厳しい推計が出ているからこそ、少子化がさらに進んで、高齢化がこれ以上加速することを食い止めないといけない。
 
Q7 具体的には、どんな対策が?

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A ひとつは、女性が子育てをしながらでも働きやすいように、保育所や学童クラブの整備は当然のこと、短時間労働など柔軟な勤務ができる環境を作っていく必要がある。また、育児負担を抱える専業主婦も多く、そうした人たちへの支援も必要。あわせて、男性も子育てに関われるように長時間労働の見直しももっと進めていかなければならない。

 それと、もう一つは、若い世代が希望すれば結婚や子育てできる社会にかえていく必要がある。
今、若い世代では非正規で働く人の割合が多くなっているが、非正規で働く人たちの中で結婚している人の割合は、正規で働く人の2分の1。非正規で働く若い世代が、将来の生活設計ができるような雇用環境や社会保障制度に変えていくことが、出生率の改善、ひいては超高齢化時代を乗り切れるかどうかの、ひとつのカギになると思う。