解説アーカイブス これまでの解説記事

時論公論

twitterにURLを送る facebookにURLを送る ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

「見えるか燃料デブリ 福島廃炉の課題」(時論公論)

水野 倫之  解説委員

福島第一原発の事故からまもなく6年、東京電力はきょうから2号機の格納容器内でメルトダウンした燃料に迫る調査を開始。燃料デブリはどこにどれだけあるのか全く分かっておらず、取り出し方法を決めるにも状態を把握する必要があり今回の調査がそのカギを握る。
ただ予想外の事態も続いて遅れている上に、きょうもいきなりトラブル発生。
どうやって燃料デブリを探すのか、そしてデブリ取り出しの困難さとは、さらに廃炉工程の問題点について水野倫之解説委員の解説。

j170124_00mado.jpg

けさ、2号機容器の配管からカメラを入れようとしたところ、入らなくなった。東電はきょうの作業は中止し、原因がわかり次第、作業を再開したいと。ただ再開には時間がかかるかも。

j170124_00.jpg

6年前の事故では原子炉建屋が次々と水素爆発し、3基で燃料がメルトダウン。原子炉を突き抜けて格納容器の底にまで落ちたと見られている。
38年前、メルトダウン事故を起こしたアメリカのスリーマイル島原発で取り出された燃料デブリを見ると、炉内のステンレスなどと混じって岩のように固く、いまだに極めて強い放射線が出ている。こうしたデブリに迫るには特殊なカメラやロボットの開発が必要で、福島では6年たってようやく調査できるところまできた。

j170124_02.jpg

きょうはいきなりのトラブルだったが、これまでの解析で1号機と3号機は燃料の大部分が格納容器の底まで落ちて調査が難しいのに比べて、2号機では多くの燃料が原子炉に残されている可能性が高い。東電は今後ロボットを原子炉の真下まで持って行ければ、燃料デブリを捉えられる可能性は十分あると見ている。

調査は格納容器の壁にある貫通口からカメラやロボットを入れて通路伝いに原子炉まで移動させ、原子炉の真下を見る。制御棒を動かす装置がたくさんついているが燃料はこうした機器も溶かして複雑に混じり合い固まっているとみられている。

j170124_03.jpg

原子炉の真下を見るためロボットも開発されたが、
事前の準備の段階で想定外のことが相次ぎ、投入は1年半以上遅れている。
貫通部のふたを作業員が確認したところ、高濃度の放射性物質が溶けたゴムのように漏れ出しており、これを除染、遮蔽するための技術開発に手間取り、なかなか投入できなかった。
今後格納容器内も損傷個所があるかもしれない。実際、おととし行われた1号機の格納容器内の調査では、ロボットが事故でできた床の隙間にはまって動かなくなり、調査は途中で断念。

j170124_04.jpg

今回、同じことを繰り返さないためにも事前にカメラで状況をしっかり確認し、ロボット操作も多くの作業員でチェックするなど、慎重に調査を進めなければ。

今回ロボットでデブリの姿が捉えられれば大きな一歩だが、さらに格納容器の底などに送り込んでデブリの全体像を明らかにする必要があるが、調査のメドはまだ。

さらにこの先取り出しに向けても困難が。
アメリカ、スリーマイル島原発事故では燃料デブリは原子炉内にとどまっていたため取り出しは水を満たして行われた。
しかし福島では燃料は格納容器の底まで落ちているとみられる上に、容器も損傷して水が漏れ出しており、補修は簡単ではない。
そこで政府と東電は水で満たさずに取り出す方法も検討。
容器周辺に密閉したエリアを設けて扉で区切り、デブリを移す時だけ扉を開け閉めする。しかし検討は始まったばかり。

また取り出しに使う器具も。
現在政府の研究開発の一環として大手メーカーがレーザーで削る器具の開発を進めている。
ただ1分間で削り取れるのは100g程度。しかも連続運転はできない。デブリは2号機だけでも240t。効率を飛躍的に上げるとともに、機器も小型化しなければならず、実用化は簡単ではない。

これまで見てきたように、デブリの取り出しは相当な困難。どこに最終処分するのか見通しは示されていない。

j170124_05_1.jpg

しかし政府と東電は最長40年で廃炉を完了するという工程表は堅持し、2021年にデブリ取り出しを始めるという方針も変えていない。夏には3基それぞれ、取り出し方法の方針を決めるという。
ただ今回うまくいったとしても、デブリの全体像がわかるわけではなく、こうした工程の実現はかなり困難ではないか。
無理な計画を掲げ続けて調査を急げばトラブルが起き、かえって工程全体を遅らせることにもなりかねない。

j170124_05_3.jpg

今回の2号機のデブリ調査が終わった段階でその結果を分析し、困難な場合には時間はかかっても安全第一に着実に廃炉していけるような計画に見直すことも検討しなければ。

(水野 倫之 解説委員)

twitterにURLを送る facebookにURLを送る ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

キーワードで検索する

例)テーマ、ジャンル、解説委員名など

日付から探す

2017年02月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
RSS