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【イベントレポート】「西郷どん」を10倍楽しむセミナー 作曲・富貴晴美さんの生演奏
(平成30年4月28・29日 開催)

2018年6月12日

NHKふれあい広場2018では「大河ドラマ「西郷どん」を10倍楽しむセミナー」と題して、4月28・29日にスペシャルトークショーを開催しました! 雲一つない青空のもと、多くのお客様にお越しいただきました。

セミナーは2部構成で、第1部では、NHKドラマ番組部から演出担当の津田温子ディレクター、VFX担当の佐藤渉さん、照明担当の中井智行さんをゲストに招き、ドラマ制作の裏側に迫ります。

では早速、第1部から少しずつ紹介していきたいと思います!

実は3年半前まで鹿児島放送局に勤務していた演出担当の津田ディレクター。
「変わらず皆さんのあたたかい心が鹿児島のいいところだなと感じています。このような形で戻って来られてとても嬉しいです。」と笑顔。「演出は、映画でいう監督と近い仕事」だそうですが、作品のテーマや、全体の方向性などをプロデューサーと話し合って決定しています。
演出担当の津田温子ディレクター
(写真:演出担当の津田温子ディレクター)
鈴木亮平さんデザインのスタッフTシャツを着て登場したのは、VFX担当の佐藤さん。「VFXとはビジュアルエフェクツの略で、CGを使って映像を合成すること」だそう。より自然に映像が見えるように作業を行っているため、視聴者に「気づかれてはいけない」ということもVFXならでは。具体的には、天候・季節の統一や、電線や車などの現代物やカツラの切れ目などの見えてはいけない部分の処理といった撮影後の作業をはじめ、撮影前に何をどのように撮るかデータ設計することもVFXの仕事だそうです。
VFX担当の佐藤渉さん
(写真:VFX担当の佐藤渉さん)
例えば第1回で上野の西郷さんの銅像をお披露目するシーン。お披露目会場に集まる大勢の人々は、先に文献や資料を元にCGで配置を確認後、数人のかたまりごとに撮影。最終的にそれらをCGで合成し、一堂が会するシーンを作りあげたといいます。

続いて撮影現場の様子について、照明担当の中井さんに話していただきます。
照明とは「素材を見やすくしたり激しくしたり、やさしく見せたり絵のトーンを作る仕事」とのこと。
照明担当の中井さん
(写真:照明担当の中井智行さん)
具体的には、屋外での撮影で急に天候が変わった際に明るさを調整したり、夜のシーンでも人物の表情が見えるようにしたり、女優さんをより美しく、俳優さんをより格好良く見せるために、照明器具が見切れないギリギリのところまで近づいたり、といった細やかな対応をしているそうです。

「そこが失敗してしまうと、視聴者が映像に集中できなくなる。」
それをVFXや照明など、いろんなところから防いでいることがわかりました。まさに影の立役者! 変なところなど何も気にならず、綺麗な映像を見れている裏側には、いろんな苦労があったんですね。

そして第2部で登場したのは、とってもスペシャルな方々!
西郷どんの音楽を担当されている富貴晴美さん、題字・ポスター・タイトルバックなどを制作されたL.S.W.F(LAND SKY WATER FILM)のみなさま、NHK音響デザイン部の佐々木敦生デザイナーをお迎えして、音楽や映像制作の舞台裏に迫りました。

お馴染みのオープニングテーマは、果たしてどのように生まれたのでしょうか。
まず音楽、それから映像の順番で紹介していきます。

「幕末は若い偉人が時代を変えていったという政治的なイメージが強い。そんな中で、“大河ドラマ西郷どん”では、その時代に生きた人間の温かさ、親しみやすさを大事にしてドラマを作りたかった。」と話すのは津田ディレクター。オープニングにも親しみやすさ、新しさを求めていたそうです。

そんなときに、「富貴さんが作る音楽を耳にして、富貴さんなら大河だけど大河らしくない、新しくてなじみ易い音楽を作ってくれるのでは、と思ってお願いしました」とオファーの裏側を披露いただきました。

そもそも大河らしい音楽ってどのような音楽なのでしょう。
富貴さんによると、元来大河の曲は“重厚”で“壮大”、歴史の荒波を表現したような暗いトーンの曲が多く、富貴さんもまたそういった大河の曲を作るのが夢だったといいます。
富貴晴美さん
(写真:富貴晴美さん)
オファーを受けた時も「大河! ダーーーーーーーーーーンというような迫力満点の音楽を作りたい!」と気合十分だったそう。
しかし津田ディレクターに、西郷はもっとも“民”に近い人だったので、寄り添うような音楽の方が良いと伝えられ「西郷どん」の曲を書こうと気持ちが変化。

最終的には、「歩け歩け西郷どーん、どんどこどんどこ西郷どーん、と踊りながら作りました!」とのこと。あのオープニング曲に歌詞があったとは驚きです! こうして西郷どんのポップなイントロと明るい旋律が生まれたのですね!

佐々木デザイナーは、「まさに踊りながら作った様子が分かる素敵なイントロ。明るい少年時代から始まって、人生が熱く盛り上がっていって、奄美の島唄のようなところでは人生を見つめ直す。人生が詰まった一曲ではないでしょうか。」と絶賛でした。
音響デザイン部の佐々木敦生さん
(写真右:音響デザイン部の佐々木敦生さん)
もともと鹿児島が大好きで、大学時代に1ヶ月弱、鹿児島をひとり旅したこともあるという富貴さん。しかしいざ作曲するにあたって、自身が奄美をはじめとする“島”を知らないと気づきます。

そこで富貴さんは実際に、イメージハンティングで奄美を訪ね、自然を見たり人に触れたり、唄者(うたしゃ)に話を聞いたりしたそう。なかでも奄美の竪琴を演奏する方に会って話したことが、島唄を初めて身近に感じる機会になったと言います。

「たとえば奄美は女性優位の島なので、女性が先に唄って男性が裏声で合わせにいくんです。歴史と音楽性が合わさっているのを知りました。また同じ奄美でも北と南で特徴は異なるので、西郷さんと愛加那さんの暮らした北部の島唄を特に勉強しました。」
富貴さんと押尾アナウンサー
なるほど、西郷隆盛の人生、島の歴史、音楽性、富貴さんが感じた鹿児島の大自然が、あの2分50秒に息づいているのですね。

会場では富貴さんに、「西郷どん」オープニング曲をピアノによる生演奏で披露して頂きました。富貴さんご本人も生で披露するのは“初”だったそうですが、「緊張します!」との言葉とは裏腹に、堂々とした演奏で会場をぐっと惹き込んでいました。
富貴さん生演奏
ピアノで聞く西郷どんテーマ曲、また違った雰囲気でとっても素敵でした。

そしてオープニングで印象的なのは、なんといっても鹿児島の壮大な風景映像です。次は映像について、掘り下げていきましょう!

津田ディレクターに、L.S.W.Fのみなさまに制作を依頼した経緯について聞きました。
「幕末というのは日本に新しい風が吹いた時なので、表現にも新しさが欲しかったのがまずひとつ。また鹿児島のエネルギーをタイトルバックで表現したいと思った時、やはり自然しかないと思いました。
そこでCGに頼るのではなく、実写映像だけで自然を表現することに勝負したいと思い、素晴らしい風景を撮っていたL.S.W.Fさんに話をもちかけました。」

依頼を聞いた時、「信用できなかった(笑)凄いお話だったので」と語るL.S.W.Fの中村さんですが、鹿児島にはもともとご縁があったそうです。
L.S.W.Fの方々
(写真右より、L.S.W.Fの中村豪さん、土屋尚幸さん、青木肇さん、緑優人さん)
「妻の出身地で土地勘もありました。西郷隆盛という人物の“大きさ”と、自分の知っている鹿児島の雄大さをぶつけたら、自分たちにもできるんではないかとポジティブなエネルギーが生まれていきました。」と当時を振り返ります。

しかし撮影は自然相手。夕日が出るか出ないか、風が吹くか吹かないか、鈴木亮平さんの多忙なスケジュールもあいまって、撮影は苦労とドタバタの連続だったそうです。

そんな中でもドローンを使った空撮や、奄美での水中撮影、海亀が自らカメラに寄って来るといった素敵な偶然もあり、あの臨場感溢れるオープニング映像が生まれました。
L.S.W.Fの方々
セミナーの最後には、巨大スクリーンでオープニングテーマをフル上映。
大盛況のうちにプログラムは終了しました。

ここまで「西郷どんを10倍楽しむセミナー」と題してドラマ制作の裏側をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
「大河ドラマ西郷どん」には100名を超える制作スタッフが関わっています。
ひとつのシーンにどういった人たちが関わり、どのような思いが込められているのか、違った視点から見ることができれば、ドラマがさらに面白くなるのではないでしょうか!
引き続き、西郷どんの活躍に期待していきましょう。
記念撮影
(2018年4月29日 NHK鹿児島放送局 展望デッキにて)
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