ワクチン接種 若い世代の疑問にこたえます

(2021年10月21日の回答)

新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、若い世代からは副反応を心配する声が根強く聞かれます。そこで、若い世代が抱くさまざまな気になる疑問について、長崎大学大学院の森内浩幸教授に話を聞きました。



questionワクチン接種について、どう向き合えば良いのでしょうか。


answer

ワクチンのメリットとデメリットを考えて接種することが重要です。

高齢者の場合は圧倒的にメリットが高くて、デメリットが低い。悩む必要がありません。それに比べると、若い人が迷うのは当然です。高齢者は熱も出なければ痛くもない。アナフィラキシーもめったに起こらないし、血栓も起こらないしという中で、若い世代は副反応が起きやすいと言われると当然悩むし、ましてや年寄りが上から目線で「集団免疫のために打て」などと言われると反発するのは当たり前です。

もちろんメリットはあります。

感染することで、20代の若い人でも2万数千人に1人くらいは亡くなっています。これはサマージャンボの4等賞の確率、3万3333分の1よりは高いんですよね。また、20代後半から30歳でも、味覚・嗅覚の問題や、疲れやすい、ぼーっとする、頭から髪が抜けるといったことに悩まされる人が半分以上いるということを考えても、やはりそれを避けるための手だてとしてワクチンは意味があると思います。

若者にもメリットがあるが、デメリットは高齢者よりも結構あるのだから、きちんと説明する、何か起きても対応できるように説明することが重要だと思います。




question鹿児島県内では、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンが接種されていますが、ワクチンの種類によって、効果や副反応の重さは違うのですか。


answer

ワクチンに一番期待される重症化を防ぐという点に関しては、3つのワクチンで大きな違いはないと思います。ただ、発病を防ぐ効果、さらには感染を防ぐ効果で見ていくと、モデルナ、ファイザー、アストラゼネカ、という風になります。

ファイザーとモデルナは同じmRNAというワクチンですが、モデルナのほうが量が多いんですね。ファイザーは30マイクログラム、mRNAの効果を使っているのに対して、モデルナは100マイクログラム使用しています。有効性はモデルナ、ちょっと落ちてファイザー、もうちょっと落ちてアストラゼネカになると思います。

ただし、副反応に関してもその順番です。一番痛くて腫れて熱も出やすいのがモデルナ、それよりは少ないけどそれなりに起こるのがファイザー、そういうタイプの副反応が割合少ないのがアストラゼネカになります。効果がある分だけ、副反応も起こりやすいというふうになります。

より痛みとか熱とかが気になって仕方ないという人は、それが一番少ないのがアストラゼネカ。次いでファイザー、モデルナというかたち。いやもうぐったりするのはイヤだよっていう人は、一番効果があるけどモデルナを避けるという選択肢もありうるかなと思います。

とはいえ、命に関わるような重症化を防ぐということでいえば、3つのワクチンに遜色はありません。どれでも極端な違いはありません。




question若い人のほうが副反応が強いのでしょうか。


answer

ワクチンというのは、いろんな病原体から身を守るために免疫をつくるということを目的としてやっています。その免疫をつくる力は若い人ほどあるんです。その分だけ抗体もしっかりできる。60代の人間よりも20代の人のほうが抗体の量が2倍できるとわかっています。

その免疫の反応は、ワクチンを打ったあとの痛みとか腫れ、さらに2回目のあとであれば、その反応が全身にも及び、熱が出たりけん怠感を感じたりしてしまうようなことが起こってきます。たとえば60代の私の場合、熱が出る可能性は1割程度です。それが、20代の特に女性に関しては、半分くらい出るんですよね。若い人ほど男性よりも女性のほうが強く出る傾向にあります。

ただ、痛みや腫れ、けん怠感は必ず去って行く症状です。私個人はそれほど心配するほどのものではないと思います。

一方、数十万人に1人ですが、アナフィラキシーという強いアレルギー反応は対応の仕方が悪いと命に関わるものになります。山を歩いていて、ハチに刺されてアナフィラキシーが起こった場合は大変なんですね。病院に行って正しい治療を受けるまでだいぶ時間がかかります。そうなると命に関わる人がでてくる。

ワクチン接種の場合のアナフィラキシーは、特効薬が注射器に入った状態で打ちます。ですので、すぐに対応でき、それが大ごとにつながるというのは非常にまれです。もともと数十万分の1で起こる非常にまれなことですが、もっと大変になる確率はもっともっとまれになります。過度に心配する必要はないかと思います。

若い男性に関しては心筋炎、心臓の筋肉に炎症を起こすということもあります。だいたい12歳から24歳の男性であれば2万人に1人くらいの確率で起こると言われています。ただ、幸いアメリカで子どもたちへの接種、若者への接種が進んでデータが上がってきていて、ワクチン接種のあとの心筋炎は特別な治療をしなくてもすぐに治っていくものであり、特別心配する必要がないとわかってきています。

一方、新型コロナウイルスにかかった人は結構、心筋炎が起こっているんですね。アメリカで大学のアスリートに調査をしてみると、新型コロナにかかったあと、2.3%に心筋炎が起こっています。40数人に1人です。多くは自覚症状がなく、そうとは思わずに過激な運動をした場合、命に危険が及ぶ可能性があります。

この心筋炎みたいな物騒な副反応があるんでしょうと心配される場合は、ワクチンでは2万人に1人ですけど、コロナにかかると40数人に1人だと受け止めるべきです。

ちなみに、アレルギー体質でワクチンが打てないということはまったくありません。モデルナとかファイザーといったmRNAワクチンは、ポリエチレングリコールという成分が入っていて、もしかしたらそれに対してアレルギー反応が起こっているのではないかとも言われています。

ポリエチレングリコールは、いろいろな医薬品、それから化粧品とかにも入っています。もし何らかの医薬品や化粧品で強いアレルギー反応があった人は申告することになります。それを問診する医師との間で話して、ごくごく一部の人は少し詳しいことがわかるまでは控えておくか、別のワクチンを打ちましょうということになると思いますが、アレルギー体質で心配することはほとんどないと思います。




question副反応以外にも、ネット上では流産や不妊、おなかの子どもに影響があるのではないかといった不安の声が広がっています。こうしたリスクはあるのでしょうか。


answer

妊婦に打つと流産になる、おなかの赤ちゃんが大変なことになるということに関しては否定されています。当初は新しいワクチンだからということで、妊娠初期への接種は強くは薦めていませんでした。いまは何万人規模のデータが出ていて、流産も障害に関してワクチンを打ったことで増えるというデータは一切出ていません。心配する理由はまったくないと思います。

むしろ、お母さんの中にできた抗体は胎盤の中を通って、赤ちゃんにうつっていきますので、妊婦さんの接種はおすすめだと思います。

不妊に関しては相当調べないとデータが出ないのですが、それにも関わらずすでにわかっているかのように出ているのはデマだというのがわかります。

特に、男性に関しては精子の数とか精子の運動能力が、ワクチンを接種した場合にまったく変化がないか、むしろ数が増えたり、動きが元気になっているというデータが出ています。一方、感染した男性は精子の数が激減し、精子の運動力が落ちているので、不妊を心配するならワクチンを接種したほうがましだという風になるかと思います。




questionデルタ株が広がる中で、ワクチン接種はどう考えれば良いのですか。


answer

感染予防効果に関して、アルファ株のときは80%〜90%あったので、実際にワクチンによって集団免疫をつくるということも期待していましたが、いまデルタ株になってワクチンの有効性は60%を切るぐらいになってしまいました。集団免疫のためにみんなどんどん打つべきだと主張するものではなくなってきたと思います。

たしかにワクチンによって感染を防ぐ効果はありますが、それは決して十分なものではない。ワクチンを接種していてもこれまでどおり、マスクをつけるですとか、3密を回避するといったことを続けていかないといけない。そこの誤解はないようにしていただきたいと思います。

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