鹿児島は水あかがつきやすい?

2022年3月14日

今回取材したのは福岡から鹿児島へ転勤してきた方からの調査依頼。

「福岡に比べて水あかがつきやすく感じますが水質の違いがあるのでしょうか。水あかを簡単に落とす方法やグッズを教えてください」というお尋ねでした。

取材を進めると、火山とともに暮らす鹿児島ならではの悩みが見えてきました。

(鹿児島局記者 松尾誠悟)


【新築だった私の家にも】


関西地方から鹿児島に来て2年となる私(松尾)。実は同じ思いを持っていました。新築で入った家の浴室も、よく見るとシャワーの蛇口の部分に白くびっしりと水あかがついていました。

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どうして水あかはつくのか。ヒントを得るため、まずハウスクリーニングのプロのもとへ向かいました。

 

【浴室清掃だけで年間約300件】


水あか落としを専門に手がけている三代正彰さんの店では、浴室の清掃だけで年間およそ300件もの依頼が寄せられるといいます。

ある現場の浴室を見せてもらうと、鏡には白いざらざらとした、魚のうろこのような水あかがついていました。


ひどいときには、プロでも落とすのに2日近くかかる場合もあるという鹿児島の水あか。特定の地域でしか見られないものだといいます。


三代正彰 店長

乾燥する過程で水あかができます。それが堆積して取るのがきつくなる。全国の情報も入ってきますが、どうやら静岡の富士山のあたりもつきやすいようです。火山地帯特有の状況だと思います。水道水に含まれるマグネシウムカルシウム、シリカ、いろんなものの総称です。


【やっかい者は「シリカ」】


水道水にはいろいろな成分が含まれます。地域を問わず含まれるのがマグネシウムや炭酸カルシウム。これらは市販されている酸性の洗剤で洗い落とすことができます。

ところがシリカはなかなか落ちないというのです。
シリカは正式には二酸化ケイ素という物質です。地質学が専門の鹿児島大学の井村隆介准教授は、鹿児島ではシリカが広い範囲に広がっていると話します。


井村隆介 准教授

鹿児島は火山地域でシラスがよく分布しています。シラスにはケイ酸分(シリカ)が75%含まれる。その中を通過するのが地下水で、その上を流れるのが川の水です。ですから、シリカに富む水がどうしてもできるんです。

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問題はこのシリカの性質。酸に耐性があり、洗剤で落とすことが困難です。そのため、鹿児島では水あかが残り続けることになるのです。井村さんも、シリカは火山が分布している地域に多いと指摘しました。

井村隆介 准教授

鹿児島と同じシラスのようなものは熊本県の阿蘇カルデラにもあり、シリカに富んでいます。宮崎は火山が少ない地域ですけどシラスが分布しています。宮崎市街地に近いところはシリカが若干多いです。


【最大の水あか対策は?】


それでは、シリカが原因となっている水あかはどうやって落とせばいいのか。年間に300件、風呂掃除を手がけている三代さんによると、削り取るしか方法はないということです。

傷をいっさいつけずに落とすのがプロの技。棒を使ってカンナのように削ったり、薄い膜を1枚1枚はがしたりする地道な作業の連続です。

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そして、最大の水あか対策は、なるべくぬれたままにしないことだと話します。


三代正彰 店長

水あかをつきにくくするには水滴を放置しないことです。水切りをしていただいて、マイクロファイバークロスのような布で拭いていただくことが重要です。


【取材後記】


もしかしたら水あかがつきやすいのかも―。鹿児島で生活して2年、うすうすと気がついていましたが、今回視聴者の方からの投稿があり、本格的に調べることができました。火山由来の水あかだということで、火山とともに暮らす鹿児島ならではの課題だと感じます。

鹿児島市水道局によると、水あかがつきやすくなる原因としては、シリカ以外に水道水の硬度も関係しているということです。硬度は全国各地でさまざまで、川の水かそれとも地下水かによっても異なります。例えば地下水を使っている熊本市でも、水あかがつきやすいということです。

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