【新築だった私の家にも】
関西地方から鹿児島に来て2年となる私(松尾)。実は同じ思いを持っていました。新築で入った家の浴室も、よく見るとシャワーの蛇口の部分に白くびっしりと水あかがついていました。
どうして水あかはつくのか。ヒントを得るため、まずハウスクリーニングのプロのもとへ向かいました。
【浴室清掃だけで年間約300件】
水あか落としを専門に手がけている三代正彰さんの店では、浴室の清掃だけで年間およそ300件もの依頼が寄せられるといいます。
ある現場の浴室を見せてもらうと、鏡には白いざらざらとした、魚のうろこのような水あかがついていました。
ひどいときには、プロでも落とすのに2日近くかかる場合もあるという鹿児島の水あか。特定の地域でしか見られないものだといいます。
【やっかい者は「シリカ」】
水道水にはいろいろな成分が含まれます。地域を問わず含まれるのがマグネシウムや炭酸カルシウム。これらは市販されている酸性の洗剤で洗い落とすことができます。
ところがシリカはなかなか落ちないというのです。
シリカは正式には二酸化ケイ素という物質です。地質学が専門の鹿児島大学の井村隆介准教授は、鹿児島ではシリカが広い範囲に広がっていると話します。
井村隆介 准教授
問題はこのシリカの性質。酸に耐性があり、洗剤で落とすことが困難です。そのため、鹿児島では水あかが残り続けることになるのです。井村さんも、シリカは火山が分布している地域に多いと指摘しました。
井村隆介 准教授
【最大の水あか対策は?】
それでは、シリカが原因となっている水あかはどうやって落とせばいいのか。年間に300件、風呂掃除を手がけている三代さんによると、削り取るしか方法はないということです。
傷をいっさいつけずに落とすのがプロの技。棒を使ってカンナのように削ったり、薄い膜を1枚1枚はがしたりする地道な作業の連続です。
そして、最大の水あか対策は、なるべくぬれたままにしないことだと話します。
三代正彰 店長
【取材後記】
もしかしたら水あかがつきやすいのかも―。鹿児島で生活して2年、うすうすと気がついていましたが、今回視聴者の方からの投稿があり、本格的に調べることができました。火山由来の水あかだということで、火山とともに暮らす鹿児島ならではの課題だと感じます。
鹿児島市水道局によると、水あかがつきやすくなる原因としては、シリカ以外に水道水の硬度も関係しているということです。硬度は全国各地でさまざまで、川の水かそれとも地下水かによっても異なります。例えば地下水を使っている熊本市でも、水あかがつきやすいということです。
三代正彰 店長