2013年12月13日の

一番星
瀬戸口 勝也 さん

瀬戸口 勝也さん

職業:プロキックボクサー

★逆境を跳ね返せ!
公務員キックボクサーの挑戦★

 プロのライセンスを持つキックボクサー、瀬戸口勝也さんは指宿市役所財政課に勤務する公務員です。二足のわらじの瀬戸口さんが12月、日本フェザー級タイトルマッチに臨みました。長年の夢、日本チャンピオンを目指す瀬戸口さんの姿を追いました。

 

 11月末、鹿児島市内で猛練習に励む瀬戸口さんの姿がありました。
プロライセンスを持つ瀬戸口さんは現在、フェザー級の1位。初のタイトルを狙っています。
フェザー級の中では小柄な身長164センチ。
パワーでは劣る分、スピードを活かした攻撃を武器に、これまで17勝3敗2分けという結果を残してきました。
常にけがと隣り合わせの激しい格闘技はひとつひとつの試合がまさに真剣勝負。日常生活では味わうことのできないスリルや緊張感を味わえるのがキックボクシングの魅力だと瀬戸口さんは言います。

 

 キックボクサー瀬戸口さんにはもう一つの顔があります。
指宿市役所の財政課に勤務する公務員なんです。
瀬戸口さんは料金の収納に関するシステムのプログラミングを担当しています。
ファイトマネーだけでは食べていけないキックボクシングの世界。多くのボクサーと同様、瀬戸口さんも仕事とのかけもちを選びました。地方公務員のため、ファイトマネーは受け取っていません。
目標を叶えようと努力する瀬戸口さんを職場の同僚たちは横断幕を作って応援してくれています。

 

 市役所の仕事が終わるとほぼ毎日、片道40キロの道のりを運転して鹿児島市にある武道館に向かいます。
空手や合気道の稽古に混ざって、黙々と練習に打ち込みます。県内にはキックボクシングのリングが少ないため、練習場所にはいつも苦労しています。
それでも、過酷な練習に耐えられるのは、今やらなかったら一生後悔するという思いがあるからです。

 

 瀬戸口さんがキックボクシングを始めたのは高校1年の時。初めて出場した大会で見事に勝利しました。子どもの頃から格闘技が好きだった瀬戸口さん。しかし、体が小さかったために、体重別で戦えるキックボクシングを選び、日本一を目指すようになりました。
そんな瀬戸口さんの夢を、最も身近で支えてくれているのが、実家の両親です。
瀬戸口さんの活躍を喜び、応援しているものの、けがは心配だと言います。

 

 試合2日前。瀬戸口さんは市内にあるリングを特別に借りて、最後の調整に入っていました。
今回の試合を、瀬戸口さんはキックボクサー人生の大きな節目だと考えています。今年30歳。将来を考えて、引き際を意識するようになりました。
家族や職場には迷惑をかけたくない。瀬戸口さんは『負けたら引退』という思いの中で揺れていました。

 

 12月8日。東京後楽園ホール。
大きな声援の中、瀬戸口さんがリングに上がります。スピードを生かした瀬戸口さんのパンチが次々と決まります。(右:紺色のトランクスが瀬戸口さん)
しかし、結果は1対2の判定負け。瀬戸口さんの夢はかないませんでした。
試合のあと、悔しさのあまり一睡も出来なかったという瀬戸口さん。現役を続けるかどうか、まだ迷い続けていますが、「このまま引退できない」という思いが、今、少しずつふくらんでいます。

番組制作者からひとこと
番組制作者からひとこと

 鹿児島にキックボクシング フェザー級ランキング1位の方がいると知ったのは去年の秋。子どもの頃、ボクシングものの映画や漫画が好きだった私は、「取材したい!」と思い、早速連絡を取ろうとしました。しかし、日中は指宿市の教育委員会(当時)で働いているとのことですぐには連絡がつかない、そう、そのキックボクサー瀬戸口さんは地方公務員という顔もお持ちの方でした。
 2足のわらじの瀬戸口さんを取材してみて、想像以上の過酷な生活をされていることに驚きました。仕事は定時に終わることはほとんどなく、片道40キロの練習場所のある鹿児島市から自宅のある指宿市に帰るのは日付が変わる頃。それでも疲れた様子もなく、瀬戸口さんは生き生きとしていました。日本チャンピオンという長い間思い続けている夢に向かって頑張る瀬戸口さんをそのまま映し出すにはどうやったらいいのか、これぞ、という案は思いつかなかったのですが、仕事や、練習で忙しいにも関わらず、いつも謙虚に対応して下さる瀬戸口さんを、とにかく心を込めて丁寧に撮ろうと心掛けました。過去、面白いシーンを逃してはならないと、一番星ではついついカメラを回しっぱなしということが多かった私。それをやめて、1カット1カット、どのフレームを切り取っても瀬戸口さんの思いが見ている人に伝わるように、という気持ちで撮影をしていきました。それがよかったのかどうかわかりませんが、徹夜の編集作業でも楽しかったのは間違いないです。
 残念ながら、今回、瀬戸口さんの夢はかないませんでしたが、これからも瀬戸口さんは、 目標を持ち続けて生きて行かれると思います。頑張って下さい。応援しています。それと、私の『キックボクサー、瀬戸口さんを取材したい』という夢だけがかなってしまい、申し訳ございません。