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肝属川 早い段階の浸水に注意

2021年7月28日

大雨で災害のリスクが高まるこの時期に、ぜひ知ってもらいたい身の回りの危険についてお伝えするシリーズ。今回は大隅地方を代表する1級河川の「肝属川」です。早い段階から始まる浸水被害と堤防が抱える弱点に注意が必要です。
(鹿児島局記者 神慶佑)

狭いエリア流れる鹿屋市



大隅半島のほぼ中央を流れる肝属川。長さは34キロで、1000メートルを超える山地から急勾配を一気に流れ下るのが特徴です。

その下った先にあるのが大隅地方最大の都市・鹿屋市です。鹿屋市内で肝属川は、市役所や商業施設など建物や住宅が密集した狭いエリアを縫うように流れています。

川を管理する大隅河川国道事務所の門田仁課長は、鹿屋市では地形も原因となって、過去にたびたび内水氾濫による浸水被害が発生してきたといいます。


門田仁課長

鹿屋市街部の家が流されるといったこともありましたし、平成17年は堤防が切れたり氾濫したりということではなくて、各地の田んぼとか宅地とかで内水被害が頻発しました


“内水氾濫”とは



内水氾濫とは、大雨で川の水位が上がった際に、下水道から川への排水が間に合わなかったり逆流したりするなどして市街地で水があふれる現象です。堤防で水があふれるより早い段階から浸水被害が始まります。

おととし10月の台風では東京や神奈川を流れる多摩川の水が下水管などから逆流し、タワーマンションなどへの浸水被害が相次ぎました。

24年前の台風では、肝属川でも、流域の鹿屋市や肝付町などで、900棟あまりが浸水被害を受けました。



国の対策は分水路



対策として国が21年前に完成させたのが「鹿屋分水路」です。流れ込む水を迂回させる人工的な川を作ることで本流の水位が上がるのを防ごうとしたのです。

それでも、去年7月の記録的な豪雨では鹿屋市で1時間に109.5ミリの猛烈な雨を観測し、観測史上最高水位を更新。「内水氾濫」が発生し、周辺の公共施設や多くの住宅が水につかりました。

門田仁課長

最近では、ゲリラ的豪雨でまさかというか全国どこでも浸水します。鹿屋市街部全体で非常に川幅が狭く、宅地とか店舗とかが迫っている区間が多いので早めの避難をお願いしたいです


堤防に潜む“シラス”



市街地から離れ、堤防が整備されたところにもリスクが潜んでいます。鹿児島特有の「シラス」の存在です。

「シラス」は火山噴出物のひとつで、粒子が細かく、水を含むと崩れやすいのが特徴です。肝属川の流域ではおよそ7割が「シラス」に覆われていて、堤防にも「シラス」が使われています。水の浸食を受けやすくなっているのです。

国は、ブロックを埋めるなど、堤防の補強工事を進めていますが支流が次々と流れ込む下流部では、最大規模の氾濫が起きると広い範囲が浸水すると想定されていて、注意が必要です。

門田仁課長

シラスの場合は、水がしみこんだときに堤防がどうしても壊れやすくなったり、水をしみこみやすくなって堤防の下を水が通りやすくなったりという危ない状況があります。万が一、越水となりますと、堤防が弱くなって崩れてしまうかもしれませんので、河川の水位やライブカメラを自分で確認するのも大事です


大隅地方は台風の常襲地帯



肝属川で過去に起きた水害のほとんどは台風によるものです。大隅半島は台風の常襲地帯として知られていて、梅雨が明けたあとも注意が必要です。

門田仁課長

毎年いつおこるかじゃなくて、どこかで起こるという前提で台風の時期も気を抜けない状態が続きますので、大雨に対する対策はすべての時期においてきちんととっていただきたいと思います