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身近に潜む土石流のリスク

2021年7月16日

今月3日に静岡県熱海市で発生した土石流。住宅地が飲み込まれ、13日までに11人が死亡し17人の行方が分かっていません。こうした土砂災害は、いつ鹿児島で起きてもおかしくありません。

今月、県が発表した平成元年以降の県内の土砂災害の件数は2973件。全国で最も多くなっています。このうち土石流は1264件。土石流のリスクは私たちの身近な場所にも潜んでいます。
(鹿児島放送局 野崎晃公哉・齋藤湧希・西崎奈央)

市街地にもリスクが



鹿児島中央駅の西側に当たる武地区。山がせまる住宅地となっているこの地区、実は県の「土砂災害警戒等区域マップ」で土砂災害のおそれがある地域としてイエローゾーンに選定されています。マップを広げると、こうしたイエローゾーンは他にもいくつか見られ、土砂災害のリスクが鹿児島市内の各地に潜んでいることが分かります。

今回、土砂災害のメカニズムに詳しい鹿児島大学の地頭薗隆教授と共にリスクがあるとされる場所を訪ねてみました。


地頭薗隆教授

市内の見えるところ、全部シラス台地と急な斜面ですね。ここまで来るとよく分かりますね。きれいにくぼんだ、まさにこの場所が谷の出口。土石流が氾濫する場所。過去にそういう現象があって、こういう地形が作られている

シラス台地特有の問題も



武地区付近では、1986年7月に18人が犠牲となる土砂災害が起きました。その後、補強工事は行われたものの、35年が経って土砂災害のリスクが高まっているおそれがあると指摘します。背景にあるのは、シラス台地特有の問題です。


地頭薗隆教授

斜面に木が大きくなるにつれて根っこがシラスの中に入ってシラスをほぐして、シラスとは違う表土槽、崩れる物質が作られています。ここは基本的には防災工事がされていますが、まだそこの隙間に木が生えているということは、それだけ風化物が出来ているってことなので、いずれはまた壊れるということ。シラスの周期は100年なんですから。そのことも理解しないといけない。自然というのはゆっくり動いている。その中で我々人間は生きている

その上で、甚大な被害をもたらした熱海のような土石流が鹿児島でも起こりうると、地頭薗教授は話します。


地頭薗隆教授

山の上で土石流が起こったら海まで行きますよと。同じようにそこは集落がありますので、そこは危険な区域ですよとは指定されています。現象としては起こりえます。盛り土とは別の問題として。熱海のような土石流が起こることは生じます。遠くまで見晴らしも良くて、住みやすい場所なんですけども大雨の時は土砂が溢れたり、そういったリスクがあるところだと思って生活しないといけない。そしていざというときは避難行動を起こさないといけない

雨の中で必要な備えとは



土砂災害から身を守るためには、早めの避難が重要です。防災教育や地域防災力の向上について研究している鹿児島大学の岩船昌起教授は、日ごろからの準備が必要だと呼びかけています。

岩船昌起教授

土石流はどうしても移動速度が速い現象ですので、起きてしまってからでは通常の人間では逃げ切ることができません。なので、起きる前にどうやって逃げるかという事がとても重要です。基本としてハザードマップを見て、自分の自宅はどういう場所にあるかということを確認することが必要だと思います。その上で、大雨警報とかが出た場合には、特に災害危険区域に家がある人の場合には、早めに逃げることが基本だと思います。気象が変化したりしていたら、その状況を察知して、災害が出そうな場合には、場合によって何も持たずに逃げる。余裕があればいろいろと自分のその後の避難生活のために大事なものを持って逃げるということを、日ごろから準備して備えておくことが大事なんだろうと思います