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甲突川のリスク 短時間の水位上昇に注意!

2021年6月21日

大雨で災害のリスクが高まるこの時期だからこそ、ぜひ知ってもらいたい身のまわりの危険についてお伝えするシリーズ。今回は鹿児島市の中心部を流れる甲突川を取り上げます。短時間で急激に上がる水位と、都市部ならではのリスクに注意が必要です。(鹿児島局記者 高橋太一)

甲突川は氾濫と改修の歴史

60万人が暮らす鹿児島市を流れる甲突川。流域には、暮らしや経済の中心となる施設が集中しています。川の管理を担当する県鹿児島地域振興局の新田福美河川港湾課長は、甲突川の歴史は氾濫と改修の繰り返しだったと話します。


新田福美課長

甲突川は昔から氾濫を繰り返しています。昭和40年代は上流の伊敷のほうで氾濫を繰り返していますし、その以前も氾濫を繰り返してきました

鹿児島市民の記憶に新しいのは、平成5年8月の豪雨による、いわゆる「8・6水害」です。当時、現在の郡山町で1時間に99.5ミリの猛烈な雨を観測。市内では12時間で最大216ミリの雨が降りました。甲突川では広い範囲で堤防から水があふれ、住宅や店舗が浸水。市街地の浸水被害は、ほかの川も合わせると1万棟以上となり、大きな被害をもたらしました。


“短時間で水位上昇”リスクに注意

氾濫の要因のひとつと考えられているのが、甲突川の“長さ”です。薩摩川内市との境界付近にある源流から河口までおよそ26キロ。県内の主要な川の中でも、短い部類に入ります。そのため市街地の雨量が少なくても、上流部で大雨が降れば、時間を置かずにすぐに水位が上がる危険性もあります。8・6水害の時も、わずか2時間で水位が2.5倍に急上昇し、氾濫した記録が残っています。新田課長も、そのリスクを指摘しています。

新田福美課長

甲突川は最上流に降った雨が、2時間から3時間で海に到達します。雨量データは、過去1時間の雨量データが揃った時点で発表するので、2時間、3時間から1時間を引くと、1時間から2時間しかない。時間差なく水位が上がってしまうということで、避難する時間がないという危険性があるんです

さらに、川を囲む市街地周辺の丘の上は造成され団地が密集。一帯はアスファルトに覆われ、水をため込む能力が低くなっています。それを補うため、住宅地の周辺では調整池が整備されていますが、許容量以上の雨が降ると辺りで最も低い甲突川に水が流れ込むのです。


気候変動で迫る氾濫のリスク

県都を守るため、鹿児島県は工事を続けてきました。川底を掘り下げ、川幅を広げ、許容できる流量も倍増させました。その成果もあって、8・6水害のあと、氾濫は起きていません。

しかし、おととし7月の大雨では、鹿児島市の12時間雨量は272.5ミリと、8・6水害を超える雨量に。甲突川は氾濫危険水位を超えました。気候変動の影響で大雨が続く中、次なる災害はいつ起きてもおかしくない状況です。



“知らない”都市特有のリスク

新田課長はいま、都市部ならではのリスクに注意が必要だと指摘します。「商業地でもあるので、市外から通勤する方や新しく住み始めた住民の方は、8・6水害の状況をわかっていないと思う。この地域のリスクをわかっていただきたい」と訴えます。

県が策定した甲突川の浸水想定図では、被害が出る地域が8・6水害のときと重なり、鹿児島市の中心部に集中しています。最大規模の氾濫では、およそ10万人が暮らす範囲が浸水すると想定されているのです。

人口密集地域での災害にどう備えるか。新田課長は、事前のリスクの把握と、地域や身近な人同士での情報共有が必要だと話しています。

新田福美課長

住民の方だけなく、通勤される方も含め、みなさんに甲突川のリスクを十分わかっていただきたいと思います。住んでいる地域だけでなく、流域全体の状況の情報収集を進め、近隣の方、会社の方とも共有していただきたい。その上で、早めの避難体制、早めの行動に努めて欲しいと思います