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    合流部に潜む川の氾濫リスク “バックウォーター”とは

    2021年6月7日

    大雨で災害のリスクが高まるこの時期だからこそ、ぜひ知ってもらいたい身のまわりの危険についてお伝えするシリーズ。今回も薩摩地方を流れる川内川を取り上げます。全国各地で水害をもたらしてきた“合流部”の危険は川内川にも潜んでいます。(鹿児島局記者 津村浩司)

    狭さく部以外にも…

    過去にたびたび氾濫を起こしてきた川内川。その大きな要因の1つが川幅が狭くなる「狭さく部」での増水でした。

    しかし“暴れ川”として知られる川内川には、他にもさまざまなリスクが潜んでいます。


    合流部で“バックウォーター”

    薩摩川内市役所周辺の市街地は、本流の川内川と支流の隈之城川が交わる「合流部」の流域にあたります。こうした場所では「バックウォーター」と呼ばれる現象が起きるおそれがあります。

    そのメカニズムです。大雨で支流が増水した際、本流の水位がすでに高いと、水が流れ込みにくくなります。その水が支流へ押し戻されることで、最悪の場合、堤防から水があふれてしまうのです。

    3年前の西日本豪雨、そしておととしの台風19号。バックウォーター現象は、過去にもたびたび水害の原因となってきました。

    川内川と隈之城川の合流部には、薩摩川内市役所や川内駅など、都市機能が集中しています。氾濫が起きた場合、こうした建物が水につかると想定されています。

    国土交通省
    川内川河川事務所
    杉町英明所長

    支川の遡っていくところも注意が必要です。合流部にお住まいの方々だけではなく、それよりも上流にお住まいの方々の周辺でも十分に氾濫することがあるので、そういったところは十分に気をつけていただきたい


    対策が進む一方で…

    流域に20万人が暮らす川内川では、数々の対策が進められてきました。

    15年前の水害後、堤防の整備率は、国が管理する区間だけでもおよそ64%から81%へ増加。全国の1級河川の中でも整備が進んでいるとされています。

    その治水対策の要となるのが「鶴田ダム」です。大雨の際には、流量を調整して下流の氾濫を防ぐ役割があります。ただ15年前の豪雨の際は貯水量が限界に近づいたため、流入する量と同じ程度の水を「緊急放流」し、下流の増水につながりました。

    その後の再開発で貯水量は1点3倍に増加しましたが、近年の気候変動で、それでも間に合わないほどの大雨が降ると危惧されています。

    水害のリスクにどう向き合うか。いま改めて問われています。


    国土交通省
    川内川河川事務所
    杉町英明所長

    まだまだこれから、気候変動に伴ってさらなる大きな雨が降って、災害を引き起こすようなことも懸念されます。安全を過信しないように、日頃から防災については関心を持ってほしいです