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    大雨シーズン “狭さく部”から迫る川の氾濫リスク

    2021年6月3日

    大雨で災害のリスクが高まるこの時期に、ぜひ知ってもらいたい身のまわりの危険についてお伝えします。きょうのテーマは薩摩地方を流れる川内川。水の流れが悪くなり氾濫するおそれがある「狭さく部」に注意が必要です。(鹿児島局記者 津村浩司)

    川内川 氾濫の歴史

    “暴れ川”として知られる川内川。長さは137キロ、九州で2番目に長い1級河川です。鹿児島では、薩摩川内市、伊佐市、いちき串木野市、霧島市、さつま町、湧水町の4市2町を流れます。流域には20万人ほどが暮らし、下流の薩摩川内市には新幹線も走る市街地が広がっています。

    川内川河川事務所の杉町英明所長は「川内川の流域は全国的に見ても非常に雨の多い地域だ」として、過去にもたびたび氾濫を繰り返してきたと話します。

    特に被害が大きかったのが15年前の記録的な豪雨です。総雨量は1000ミリを超え、川の水位が観測史上最も高くなりました。当時は各地で氾濫が発生して一帯が濁流に覆われ、住民の救助が相次ぎました。


    リスクは“狭さく部”にあり

    大きな要因のひとつが、川のかたちです。川内川は、川幅が広い平野部と、川幅が狭い「狭さく部」が連続しています。「狭さく部」では、増水したときに流れが悪くなり、上流で水位が上昇。氾濫や堤防の決壊につながるおそれがあるのです。

    そうした場所のひとつ、中流部に位置するさつま町の宮之城地区です。狭さく部が住宅地の近くに迫っています。さらに狭さく部の近くで川が湾曲しています。上流からの水が流れにくくなり、大きな被害につながったと考えられています。

    国土交通省
    川内川河川事務所
    杉町英明所長

    狭くなっているところであるとか、川が大きく曲がっているところは、それだけで水の流れの障害になるということで、そこからあふれ出すということが十分に考えられます。通常から川の特徴というのを知っておいていただきたい


    あえて あふれさせる対策も

    氾濫の被害を抑えるため、先進的な対策が行われている地域もあります。「輪中堤」と呼ばれる堤防の活用です。

    浸水のおそれのある集落を取り囲むように堤防を整備することで、まず人の命を守ります。堤防の外は「災害危険区域」に指定し、建築を制限して人を住まわせないようにしました。住民の合意の下で、土地の利用規制まで行うのは全国でも数少ないといいます。

    輪中堤の中で暮らす
    中園凱和さん

    新しい物に取り組もうということで輪中堤でつかるのを阻止しようと考えました。堤防ができたことで、床上浸水とか床下浸水とかがないので本当によかったです。いちばん内容のいい水害対策事業ではなかったかと思います



    近くの球磨川でも氾濫 
    災害身近に 


    去年の豪雨では、県境を挟んで隣接する熊本県の球磨川が氾濫し、65人が亡くなるなど大きな被害が出ました。川内川も川の構造はよく似ていて、いつ災害が起きてもおかしくないと警戒が続けられています。

    国土交通省
    川内川河川事務所
    杉町英明所長

    昨年はたまたま熊本県の南部で、川内川からいくと山ひとつ越えたところで大災害が起きています。一歩間違えれば、川内川の流域でもあれだけの雨が降るということを認識していただいて早めの避難をお願いしたい