シンガポールにはすばらしいビルが建ち並んでいるが、その建設を担ったのは、
「三水の女」と呼ばれる中国人女性たちであった。およそ60年前、中国広東州の
三水は干ばつと飢きんにみまわれた。家族を救うため、若い女性たちは故郷を捨
て、東南アジアの建設現場などで働いて送金を続けた。シンガポールの質素なア
パートに暮らすアー・ヤンは今年88歳。彼女の「三水の女」としての辛酸の日々
が中国語によるドラマで描かれる。
若きアー・ヤンは、仲間と3人で共同生活をしながら労働に明け暮れている。
故郷の弟が結婚することになり、彼女は資金作りのために1日に2か所で仕事を
こなす。無理がたたり彼女は足にけがをしてしまうが、「ふるさとの家族が幸せ
ならば、ここでの苦労も報われるというものね」と笑うのだった。
ストーリーの区切りごとに、視聴した内容についての質問が出されたり、番組
の最後のパートでは漢字の表現も提示される。社会を根底から支える人々に暖か
いまなざしを投げかけ、多民族国家・シンガポールの人々の相互理解を助ける異
色の語学番組として賞賛された。
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